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名前 : 竹中 平蔵
性別 : 男
年齢 : 65歳

1951年和歌山県和歌山市生まれ
一橋大学経済学部卒。日本開発銀行などを経て慶應義塾大学教授に就任。
2001年小泉内閣で経済財政政策担当大臣。02年経済財政政策担当大臣を兼務。
04年参議院議員当選。05年総務大臣・郵政民営化担当大臣。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2015.09.29 17:32

安倍総理のインクルーシブ・グロースとは

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以前から安保法制の議論をできるだけ速やかに終えた上で、総理は経済政策に重点を入れるような形でスイッチングを行ってもらいたい、リセットを行ってもらいたいということを申し上げてきた。実は安倍総理が先般記者会見を行って「これからは経済」だということを明確に示したのは大変評価できる点である。そして新3本の矢、新しい重点政策を掲げたが、実はその中に例えばGDPを600兆円にするという目標が入っており、それに対してメディアからは具体策がないという批判が上がっている。
確かに具体策についてはこれからしっかりと検討しなくてはならないのだが、大枠の所で3本の矢にはどういう意味があるかということは理解しておくことが重要である。
これは私の理解だが、今、世界でよく使われる言葉でインクルーシブ・グロースという言葉がある。インクルーシブというのは、取り込む、排除せずに全員が参加できるような経済成長ということで、インクルーシブ・グロースというは、正に安倍総理の方針が示されている。
そのためにまず強い経済を作ることが第1の矢になる。そして2つめが子育て支援、で3番目が社会保障の改革である。実は強い経済を作るということと、社会保障の改革をするという所の接点にあるのが、2番めの子育て支援というところなのだと思う。子育て支援を行い、女性がもっと労働参加できるようになれば、実は経済成長率が高まって第1の矢に貢献できる。そして、子育て支援が充実すれば、それは特に日本が遅れている若い世代に対する社会保障の充実になる。
その意味では3つというのは、ある種バラバラのようで繋がっているというふうに理解することが重要である。ただし、経済を強くするためには、やはり色んなことをやらないといけないわけで、それに対してどのように経済財政諮問会議や産業競争力会議が答えていくのか、担当大臣がどのようなリーダーシップを発揮していくのかということが、正にこれから問われる。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2015.04.25 20:45

BRICsの一角、ブラジル経済に注意

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2001年にBRICsという言葉が使われ始めてから、新興国が大変注目を集めるようになった。ブラジル、ロシア、インド、中国と人口の多いこの新興国が世界経済に非常に大きな存在感を持つようになったことは言うまでもない。しかし、ここに来て、その一角、ブラジル経済が大きな問題を抱えているということが明らかになってきた。今年の成長率はほとんど0になるという予測が出ているほどである。
ブラジルが直面している問題は大きく分けて2つある。1つはこれまで過剰投資をした背景にはアメリカの超金融緩和があった。そのアメリカで今、金融緩和が終わり、金利を引き上げる段階になってきて、ブラジルなどから資金が引き上げられ、結果的にブラジルの通貨、レアルが安くなり、レアルが安くなると今度はインフレの懸念がブラジルに出て来るので金利を引き上げ、先行きに対する見通しが暗くなり、消費が落ち込むというように、アメリカの金利に影響され、為替レートに影響され、ブラジル経済が悪くなるというのが1つのメカニズムである。
そこにもう1つの大きな難問が絡んできた。ブラジルの石油公団にあたる巨大な企業があるのだが、そこの汚職問題が非常に大きな広がりを持つという風に伝えられていることだ。具体的には政権中枢にまでも及ぶのではないだろうかと言われる。昨年新しい政権、ジウマ政権第2期が発足したわけだが、それにも関わらず早くも政権がレームダックだというような言われ方をされ始めている。
政権中枢にこの汚職問題が及ぶかもしれず、何が起ころうかわからないから、消費と投資を控えようというムードが広がっていると言われている。ブラジル経済が持っている非常に大きな可能性、ポテンシャルを考えると大変もったいないことである。この危機を乗り越えてブラジル経済がBRICs、新興国の一角として勢いを是非取り戻して欲しい。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2015.04.12 11:30

アメリカの経済の大きさと多用性

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3月の末に約1週間アメリカを回ってきた。NY、ワシントン、ロサンゼルス、合計3都市で5回の講演を行ってきた。改めてアメリカの経済の大きさと活気を感じた。NYケネディー空港に着いた日は気温がマイナス2度であった。それに対して5日後にロサンゼルス空港を発つ時、ロサンゼルスの気温はプラス30度であった。
アメリカ第一の都市と第二の都市でこれだけの温度差があり、時差3時間の中を約6時間かけて飛ばなくてはならず、アメリカという国の大きさと多様さを感じる。
しかし、経済に関してはどちらに関しても、活気があった。それはやはりリーマン・ショックの後のバランスシート調整が終わり、不動産の価格もかなり急速に上がっているという印象を持つ。さらにはアメリカの競争力の根源であるイノベーションの力と企業を上手くコントロールするためのコーポレート・ガバナンスの機能という2つの強みがアメリカでは依然として発揮されている。
もちろんここのところアメリカの株が乱高下していて、強気弱気が交錯しているという批判があるが、むしろこれは利益を確定するために一時的に売るというファンドが出てきているということではないか。問題は経済が良いのにも関わらず政治の力、特にオバマ政権の力が弱いということだ。経済がこれだけ良く、これだけ支持率の低い大統領というのはめずらしいわけだが、これからいよいよ政治の季節で次の大統領が誰かということの具体的な議論が始まる。そういう中でアメリカの経済はやはり世界を支えるので、アメリカの経済の好調を是非保ってもらいたい。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2015.03.10 10:39

特区の金銭的インセンティブ加える手段

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特区が活用されてそれによって規制緩和が進むということを我々は成長戦略の重要な項目として期待をしているが、そこに地方創世特区という新しい概念のものが入ってくる。この地方創世特区の第一号を3月に指定しようということで議論が進められているようだが、この地方創世特区に関して私案であるが、やってみたら面白いのではないかと考えていることがある。それは特区はあくまでも規制改革を行うための手段で、同時にお金のインセンティブがあった方がいいが税のインセンティブを付けるのは今の財政赤字では大変な状況なのだが、ふるさと納税という制度を活用する手がある。
地方創世特区に指定されて非常に意義のあるプロジェクトをやっている地域に対して、もしふるさと納税を行うならば、ふるさと納税の規模を従来の2倍、3倍に認めるという措置をとるようにすれば、これは経済的なインセンティブ、金銭的なインセンティブを付けることにもなるので、非常に意義が出てくる。それに対して、特区に指定されないところに関してはふるさと納税の規模を小さくするということも可能であり、そうすれば税収全体に大きな影響を与えることはない。そういう一つの工夫があるのではないか。
上手くいくかはわからないが、私案としてふるさと納税の制度を地方創世特区に絡めることにより、金銭的なインセンティブを付す、そのような方向での問題提起を是非積極的にしていきたい。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2015.02.03 11:52

今年のダボス会議の印象

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ダボス会議が1月の21日から4日間、スイスのダボスで開かれた。私も出席してきたが、今年は残念ながら安部総理は出席できず、下村大臣や塩崎大臣らが参加するという日になった。さらに日銀の黒田総裁や宮沢経産大臣も途中から参加され、その意味で日本の存在感はまずまずあったダボス会議であった。
報道によると今年のダボス会議はイスラム国の話や原油安によるロシアの経済危機の話など、危機感で溢れていたというような報道であるが、私は違う印象を持っている。むしろ世界経済が緩やかに回復し、とりわけアメリカが比較的力強い回復をするという事実を受けて、比較的に楽観的な会議であったと思う。もちろんフランスのオランド大統領がやってきて、先般のパリのテロリズムの例を上げて団結を呼びかけ、怒りを表明したり、さらにはラガルドIMF専務理事が格差の拡大に警鐘を鳴らすなど、そういうシーンは沢山は見受けられたが、だからどうするという新しいアイディアや具体的な行動が示されたわけではない。その意味では危機感を訴えながらも基本的には今年の経済はそんなに酷いことにはならないという楽観論が支配していたダボス会議であったように思う。
実はいくつかおもしろいことがあった。それは250あるダボスのセッションの中でロシアの経済のセッションが1つしかなかったということである。そのためにそこに人が溢れて混乱したということだ。実はダボス会議というのは前年の11月にドバイなどでグローバル・アジェンダ・カウンセルというのを開き、そこで専門家が集まって本番のダボス会議の下ごしらえをするわけだが、その11月の下ごしらえから2ヶ月の間に非常に大きな変化が起こり、その1つがロシアの問題であり、パリのテロリズムであった。そういう意味では直近の変化に対して若干戸惑いのある会議であったということなのかもしれない。
1月の末に世界の首脳が集まって、世界の経済を定点観測するという意味のダボス会議からすると今年のダボス会議は危機感を表明しながらも、比較的楽観的な見通しが支配していたダボス会議であった。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2015.01.26 18:47

アメリカの手綱さばきに注目が集まる2015年

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2015年の世界経済は緩やかな回復をすると多くの機関が予測をしている。そしてその中心がアメリカであるという事も多くの機関が予測している。例えばIMFの予測によると、世界全体の成長率は去年の3.3%から今年は3.8%に高まると言われている。そしてそれはアメリカが主導するもので、アメリカは2%の成長軌道から3%の成長になるということが言われている。
しかし、そのアメリカ自身が実は大きなリスク要因を抱えているという事を忘れてはならない。それは昨年の後半にイエレン議長が量的緩和を終えるという風に宣言をしてリーマン・ショック以降の異常な状況の中で特別の金融緩和、量的緩和を行ってきたが、それが終焉をし、これからいよいよ金利が上昇し始めるという局面に入った。この金利を上昇させて、金融正常化するというのは、出口戦略として必要なプロセスではあるが、この手綱さばきによっては非常に大きな混乱が世界経済にあり得るということだ。もっとも懸念されるのは金利の上昇ペースが早過ぎるということだ。もしそうなれば、アメリカの経済が腰折れするということになり、実物経済の面で世界に影響を与えるし資産市場としても影響を与えるであろう。
アメリカの金利が上昇するということは、ドル建て資産の利回りが高まるということになるので、ドルに対する投資が増える。新興国からアメリカにお金が流れ、結果的に新興国が為替安になり、通貨切り下げになり、インフレを招き経済を混乱させるであろう。その意味ではアメリカに頼りながら今年の世界経済は緩やかに成長する。しかしアメリカの手綱さばきが極めて重要である。アメリカに大きな注目が集まる一年になるであろう。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2015.01.16 11:51

2月3日シンポジウム開催決定!

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日本の政策論議をリードして来られた加藤寛先生が亡くなられてから、もう2年になる。加藤先生の功績を称え、さらに改革を進めるということを目指して、チーム・ポリシーウォッチは2月3日の夜、19時から虎ノ門ヒルズでシンポジウムを開くことになった。是非、多くの方にご参加いただけると有難いと思う。
2015年が改革を進めていく上で極めて重要な年になると思う。経済全体は僅かに上向いていくと思うが多くのリスク要因がある。そしてその中で成長戦略を大胆に進めながら、一方でセーフティーネットを整備していくという、政府としては当然の政策であるが、これについて目に見えた成果を出さなくてはならないという非常に重要な年になる。安部総理は増税を1年半延期したわけだが、その意味は実は退路を断って改革をするという意味でやったと思われる。
加藤寛先生は国鉄の民営化を中心に日本の改革を幅広く進めてこられ、我々を指導して来られた。今年、2015年が改革の新たな一歩になるような、そういう年にしなくてはならない。具体的に2つの事を申し上げて置きたい。
1つは特区を目に見えた形で進めていくことである。地方創生特区という新しいジャンルの特区が今回作られることになる。この地方創生特区、そして今までの国家戦略特区で指定された6箇所で目に見えた成果を出していくことが第一に重要である。
同時に規制改革をしなければいけないからこそ、セーフティーネットを整備していく必要がある。その意味では今まで十分に議論されて来なかった給付付き税額控除のような、究極のセーフティーネットを整備していかなくてはならない。99年にイギリスがブレア政権の元でこれを導入し2001年にはフランスやオランドもそれに習った。
日本は15年遅れたことになるが、そうした給付付き税額控除のようなきちっとしたセーフティーネットを整備して行くということも今年な重要な課題である。
そうした事も含め加藤寛先生を偲んで重要なシンポジウムを2月3日に行いたいと思う。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2015.01.02 04:40

新年のご挨拶

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新年明けましておめでとうございます。Policywatchをいつも応援してくださり、大変ありがとうございます。2015年はどういう1年になるのか政治経済、色んな問題があるが、経済も政治もその政策の在り方によって非常に大きな影響を受けるというのは間違いない。世界を見渡せば、まだまだリスク要因もある。そうした中でPolicywatchはしっかりとその役割を果たして行きたい。
どうか、政策の動向は、新聞やテレビだけではわからないことがあまりに沢山ある。専門家が見た政策はどうなのか、Policywatchの活動を是非引き続き注目をしていただいて、応援をして欲しいと思います。
今年1年どうか宜しくお願い致します。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2014.11.03 12:02

法人税の引き下げに更なる努力を

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今年1月のダボス会議で安部総理はいくつかの大変重要な政策公約を世界のリーダー達の前で行った。その内の1つが世界で最も高いと言われる法人税を引き下げるということだった。日本の法人税実効税率は約35%、安いと比較されるシンガポール、香港は約17%であるから、約2倍となっている。その他の国でも例えば24%の税率であったイギリスもそれを20%にすると述べ、世界は今このような傾向にある。
今年6月の成長戦略では数年のうちに20%台にするということだけが決められた。20%台と言っても21%なのか、29%なのか、その中身は極めて曖昧であるから、これから正にそのバトルが始まるわけだが、経済財政諮問会議などでの議論によると初年度である来年度は2〜3%の引き下げを行うというような議論がされている。
結論から言うと大変不十分に受け取られると思う。経済財政諮問会議は財務省の力が非常に強く働いて事前調査が行われていると言われているが、ここは民間議員はしっかりと目標を20%台半ば20%台前半くらいまで、3年位の間に引き下げるという強いスタンスで望んで欲しい。そう考えると初年度の2〜3%というのは、これは如何にも申し訳程度でしかなく不十分であるので、そこを突破する更なる努力を重ねて欲しい。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2014.11.03 11:32

教育の在り方にイノベーションを

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世の中がどんどん進歩し複雑化している。しかしそれに対して教育の在り方というのが根本的な変化を示していないのではないかという指摘がある。例えば授業の風景を思い出してみよう。先生が前に居て生徒が座り、先生の話を聞くというスタイルはもう何十年も前から変わっていないし、今もこれが続けられている。これが当たり前だと思っているわけだが、考えてみれば、他の音楽や映画を楽しむやり方がずいぶんと変わったのに教育のやり方だけが変わっておらず、今後これに対してどのようなイノベーションがもたらされるかということが大変重要になってきている。
そういう中でMITメディア・ラボの伊藤穰一さんが面白い事例を紹介している。彼は脳の働きを調べるセンサーをMITの学生に付けさせて調べたところ、脳というのは色々考えている時に脳が働いているのだが、寝ている時も夢を見たりするので脳が働いているのだが、1日の中で学生が脳をほとんど働かせていない瞬間があるということに気がついた。それはいつかというと授業を聞いている時だったそうだ。アメリカの有名大学MITですらそういうことであるから、日本の大学も推して知るべしだと思うのだが、こういう授業の在り方、教育の在り方を根本的に変えていくイノベーションがどこから出て来るのか、そういうことをこれからしっかりと見ていく必要がある。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2014.09.16 11:15

地方創世は規制改革を始めとする成長戦略であるべき

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内閣の改造が行われた。今回の改造の狙いは女性の社会進出を高めるということが1つの大きな狙いであるが、それと合わせて重要になっているのが、地方創世の問題である。しかし地方創世という言葉だけが走っていて、具体的な中身がどうなるか、今後の議論が大変注目される段階になった。
そもそも地方創世のきっかけとなったのは、今後人口が減少する中で1800の自治体のうち、約800の多くの自治体が存立できなくなるのではないかという危機感からはじまって居る。従って元来は長期の日本の在り方を人口や地域の行動も含めて議論するというのが、その出発点であったように思われるが、現実には来年の統一地方選挙を控えて所謂アベノミクスの成果が地方に及んでいない、地方経済をどのように元気にするか、そういう政治的な狙いが重なってきた。
しかし、ここでこういう状況であるからこそ重要な点を確認しておく必要がある。それは東京や大阪が良くなって、その成果が一部地方に回るということではなく、地方経済自体が力強く成長するようにしなくてはならない、地方自体の成長戦略であるという位置付けが重要である。分配政策ではなく、地方そのものの成長戦略である。そのような位置付けを持っておかなくては、また増税で増えて上がった政府の歳入収益を地方にばら撒くという形になりかねない。この基本方針をしっかりと定めることが重要である。
その意味で行くと地方の経済の成長戦略を高めるためには、やはり規制改革が必要になってくる。実は気が付くと地方を巻き込んだ規制改革の手法として戦略特区というのがある。従って地方創世と、国家戦略特区というのはコインの両面、車の両輪という位置付けが必要である。国家戦略特区の数も地方にさらに増やしていくという動きが必要になるわけで、この地方創世と規制改革、とりわけ国家戦略特区との有機的な関係をどのように作れるかということが、大きな焦点になってくる。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2014.09.16 10:17

内閣改造から見える安部総理の意図

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内閣改造が行われた。今回の内閣改造の最大のポイントは比較的早い時期に解散総選挙があるという可能性がなくなったということだ。私がもし安部総理の側近であったら一体何を考えるだろうかと考えると、やはり来年の9月の総裁選挙、自民党の総裁選挙にしっかりと勝つことで、そのための最大の方法はその前に解散総選挙を行って自民党が勝つということだ。そうするならば無投票で自民党の総裁に再選される。そしてもし私が安倍側近であるならば、自民党の内規を変え、今は3年で2回まで、計6年が最高の任期を3回まで9年までと可能にすると思われる。そうすれば2020年のオリンピックの時に総理大臣で居られ、本当の意味での長期政権になることが可能であるから、そこまで考えるのはないかと思う。
その意味ではできるだけ早く解散総選挙をやりたいという想いがあったのではないか。谷垣さんが党の幹事長になって、良い言い方をすれば重厚な布陣ではあるが、選挙で大勝負をするという観点からするならば、やはり小渕優子さんのような方を、本当は自民党幹事長にして戦う体制を取りたかったという面もあったのではないだろうか。
しかし、人事とは難しく、色んな要因で今回のような状況になった。良く解釈すれば今手がけている成長戦略とかをしっかりと完成させる、そういった完成させるための内閣である。そして同時に解散総選挙を行うためにはもう一度内閣改造をしなくてはならない。
いずれにしても新任の大臣、留任された大臣には日本経済を良くするために、しっかりとご尽力、頑張っていただきたい。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2014.08.29 17:30

アベノミクスは微妙な分かれ目にある

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アベノミクスをどう評価するか、微妙な分かれ目に来ている。前向きの指標はいくつかある。特に賃金、とりわけ臨時の賃金、ボーナスが引き上げられたという数字が出されたことは、やはり生活者にとっても非常に大きな明るい朗報であるということは間違いない。
こういった状況を受けて、内閣府の月例経済報告は経済に対する見方を上方修正した。半年ぶりの上方修正ということになる。しかし、必ずしも評価をできないというような声も聞かれる。
1つは来年の地方統一選挙を控えて、実は今年の秋の国会が地方向けのどちらかと言うとバラマキに近いような政策に走ってしまうのではないかということを懸念する声が高まっている。経済産業省が打ち出したサラリーマンが定年を迎えて新しい起業を始める時に1人650万円を出すというよくわからない政策をやる必要が本当にあるのか、それこそバラマキではないかという批判も一部には聞かれる。金融政策をしっかりと行って克服されつつあり、その中で賃金も上がりつつあるという良いニュースとともに、こんなことを本当に政府がやっていいのかということを官僚の一部が行っているという間に今の安倍内閣は置かれている。
9月初めに予定されている内閣改造でどのような顔ぶれが大臣になって、経済政策を引っ張っていくのか、改革派が今後とも本当に経済を引っ張っていけるのかどうか、この点に非常に大きな注目が集まる。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2014.08.29 17:29

世界経済に対するIMFの見方

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IMFが今年の世界経済成長率の見方を下方修正した。わずかな下方修正ではあるが、半年前まで引き続いて上方修正をしてきたということからすると、世界経済の流れが少し変わったのではないかと懸念させる。最大の要因はアメリカの経済が下方修正せざるを得ない状況に影響を受けたということが大きい。その他には、新興国が振るわないこと、さらには地政学的なリスクがウクライナなどいくつかの地域に広がっていることが挙げられる。アメリカの経済の低迷は直接的には、今年の冬の寒波で大変厳しい状況になったということを反映してはいるが、その背景には金融緩和の出口、テーパリングを急ぐのではないかというような金融政策の動向に対する懸念が表れているのではないか。テーパリングは必要であるが、その速度は慎重に極めてゆっくり行う必要がある。世界経済に対するIMFの下方修正がさらに広がらないように慎重に対応していくことが今求められている。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2014.08.29 17:27

月例経済報告上方修正も家計調査に注意

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内閣府は毎月月例経済報告というのを出して、今の日本の経済がどのような状況にあるかということを総合的に判断している。
実は今月の月例経済報告で久しぶりに上方修正が行われた。上方修正というのは実は経済が以前よりも良くなっているという更に踏み込んだ表現になっているわけだ。
しかり、これについては色んな意見が出る可能性がある。実は5月の家計調査は、家計調査が始まって以来というほどの悪い結果が出た。消費税が4月から上がったわけだが、その駆け込み需要、消費が3月にあり、4月は思ったほど落ち込まずに安心していたら5月にドカンと消費が落ち込んだ。そういうことが1つの懸念材料になっている。
しかし、トータルで言うと、内閣府は6月ごろから消費は再び上向いているということで、経済を上方修正という形で判断を引き上げたのが現状である。
今の時点では5月の家計調査の落ち込みが十分に分析されているとは言えない。一方で設備投資に関しては設備投資の先行きを示す機械受注が比較的悪い数字を出している。景気の上方修正は是非歓迎したいが今の設備投資の先行き、そして家計調査を見る限りの回復の遅さというものに、引き続き注意が必要である。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2014.07.23 22:02

世界的な常識から、かけ離れている日本の安全保障の常識

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集団的自衛権の問題について、国民に中々意図が浸透せず一部メディアが偏った報道をしていることもあり、内閣支持率にも影響が出ている。これに対抗するために、総理官邸が面白い試みを行った。Twitter形式で22の質問項目を立てて、それを簡単に140文字以内で説明・答弁をするというものである。22の代表的な質問の中には例えば「これは戦争に繋がるのではないですか」あるいは「なぜそんなに急ぐのですか」というような一般的な質問が並べられている。そうした質問項目の中で、ある1つの質問に対して他の質問の10倍ぐらいの大変大きな反応がTwitter利用者からあったと言われている。その質問は、「この集団的自衛権によって徴兵制度に繋がるのではないか」という疑問であった。これは大変驚きである。なぜならば徴兵制度を採用している国は今は殆ど世界中でない。韓国やイスラエルなど非常に極度の緊張状態にある国が徴兵制度は続いているが、アメリカやヨーロッパの主要国では徴兵制度など役に立たないということは常識になっている。なぜならば、今の軍事行動というは、例えば無人飛行機を飛ばしたり、非常に高度な武器を使うということでプロフェッショナルでなければ役に立たない。普通の人、普通の若者が徴兵されて軍隊に加わってもハッキリ言って今の軍事行動の中では役に立たない。これが世界の常識であるにも関わらず、今回国民の多くがこの徴兵制ということに反応をしている。これ1つを見てみても、我々日本人の安全保障に対する常識というのは、世界からかけ離れたところにあるということが言える。集団的自衛権、賛成反対色々な意見があるが、まずは世界の常識からかけ離れた日本の非常識を拭うところから始めないと建設的な議論はできないのではないだろうか。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2014.07.23 22:00

アベノミクスにおけるワンストップ化の重要性

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経済改革の1つのキーワードとしてワンストップという言葉が今、重要になっている。具体的に言うと海外からの投資を東京に呼びこもうとする時、海外の投資家が1箇所でワンストップで全てのことができるような場所が日本にはない。登記所に行かなくてはならず、更には様々な届け出を各所の役所にしなくてはならない。そして、更には公証人役場にも行かなくてはならない、という風に非常に複雑な窓口の手続きのために非常に多くの労力と時間を使わなくてはならず、悲しいが日本への投資を難しくしている現実である。
こういう状況に対し、韓国などではワンストップ、1箇所で全ての問題が解決するような総合的なセンターを早い時期から作っている。今回東京などにそういったセンターを作ろうということが合意されつつあり、先般の産業競争力会議でも、これに大きく関わっている法務省の谷垣法務大臣が協力したいという話をされた。
実は同じ問題が都市計画にもある。都市計画で色んな都市開発をしようとした場合に消防、警察、保健所などありとあらゆる色んな役所を回らなくてはならず、それでヘトヘトになってしまうというのが開発者の声である。そういうことを解決するためのワンストップ化も実は区域会議でできる可能性がある。ワンストップ化をすることにより、物事を早く進め結果を出すという姿勢をとることができるならばアベノミクス第三の矢が順調に進んでいるということを印象づける良い機会になると思う。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2014.07.04 09:50

今後は規制改革会議と特区諮問会議の組織づくりに注目すべき

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国家戦略特区の中でとりわけ重要な区域会議が動き始めた。まず大阪で区域会議が開かれ、そして福岡で区域会議が開かれ6つの特区それぞれで区域会議が開かれていくことになるだろう。大阪が非常に先行しているのに対して東京が非常に対応が遅れているという斑模様はあるが、区域会議が開かれるというのは大きな進歩である。この区域会議の中で区域計画というのが作られ、この区域計画の中で色んな規制改革やプロジェクトが具体化していく、その姿が国民に見えていくプロセスでもあるので、区域会議を速やかに立ち上げ、それを動かしていくための地域の首長のリーダーシップが極めて重要になっている。
その区域会議に更に改革要望を出してもらい、それを特区諮問会議で議論し、国と区域会議との間でキャッチボールが行われ切磋琢磨していくというのが、この戦略特区の大きな流れとなっている。
この点に関しては1つ今後の課題があるとすれば、色んな規制緩和要求が出てきた場合に国全体でやるのか、特区でやるのか、ということの総合的で戦略的な判断がされることになる。その意味でも規制改革会議と特区諮問会議という2つのワーキンググループというのは本来同じ命令系統の元にあることが好ましい。現実的に、以前は規制改革会議の事務局と特区の事務局というのは同じ所がやっていた時期があるわけで、その大臣も同じにするということも含めて特区の新しい組織づくりが進むかどうかにも非常に大きな注目が集まるだろう。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2014.05.27 01:38

GPIF改革には法律改正が必要不可欠

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成長戦略の大きな柱として、例えば外国人労働の話、特区の話、法人税の話、などが上げられるが、外国人投資家がもう一つ重視している成長戦略の要として日本の年金基金、ガバメント・ペンション・インベストメント・ファンド(GPIF)の話がある。この話は技術的であるために、あまり注目されないが、海外の投資家から見ると非常にインパクトを持つ問題である。
このGPIFの運用資金は約120兆円ある。世界一の基金と言ってもいいわけだが、今、それの改革をするという方向が明示されているが、中身が明らかではない。
基本的には今の制度の枠組みの中で出来ることをやろうということである。国の機関ではあるが、資産運用をするわけだから、例えばウォール・ストリートから人を連れてこれるようにするといった、前例に囚われない高い給与を払っても良いということが既に閣議決定されている。そういう高い給与を払った本物の投資家、所謂資産運用のプロを何百人かの単位で連れてくるということをできれば、短期的にはGPIFは非常に大きく変わるであろう。
しかし、その先に残された非常に大きな問題がある。それはその組織改革を行って、組織のガバナンスを強くしなければならないということだ。今の制度は非常に古い組合のような形になっていて、理事長が最終的な権限を持って決めるという1人の個人会社のようなガバナンスの形態になっている。これをしっかりとした理事会のようなものを作りグループでガバナンスを発揮していくような仕組みにしなくてはならない。
しかし、その組織改革には法律改正が必要で、この法律改正に対して厚生労働省は全く後ろ向きな姿勢をとっている。総理が改革をしろと言ったにも関わらず霞ヶ関がそっぽを向いているという今の日本の経済政策を象徴するような問題がこのGPIFの改革の中にも潜んでいる。今できることは間違いなくあり、それは今すぐにしなくてはならない。しっかりとした法律改正を行って枠組みを変え、組織を変えることでガバナンスを強化するということから目を逸らしてはならない。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2014.05.22 14:43

特区の成功には区域会議の迅速な設立と骨太の運営が必要

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3月の末に3つの地域が国家戦略特区として指定された。重要なことは各特区で区域会議をしっかりと立ち上げ、区域会議をしっかりと運営するということである。今回の特区の最大の特徴は以前と違い、この区域会議が存在するということだ。区域会議というのは国の代表、地方の代表、民間の代表が1票づつ対等の力を持ち、ミニ独立政府のように色んなことを決めていくことができるというもので、そのためにはこの区域会議が有効に機能しなくてはならない。
しかし沢山の自治体、沢山の企業があるわけだから、それを取りまとめて運営していくには首長や担当大臣、そして経済団体の長の非常に強いリーダーシップが必要になる。
先般の特区諮問会議では、この区域会議の運用についていくつかの重要なことを決めた。最大のポイントは数を多くしないということだ。原則として国の代表2人、地方の代表2人、民間の代表2人で、ただし大都市圏である東京圏と大阪圏についてはそれぞれ3人までを認め、そして数を絞ることにより速やかに区域会議を立ち上げて、区域計画を作っていくということになる。
その意味でも首長のリーダーシップは大変重要である。今、その特区の計画において例えばだが、東京の計画というのはやはりまだ改革マインドが低いというように多くの人に見られている。そのため首長には是非頑張ってもらいたい。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2014.04.30 11:06

GPIF改革

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いくつかの日本の成長戦略、改革メニューの中で政府の年金基金の改革、ガバメント・ペンション・イベンストメント・ファンド、GPIFと言われるが、GPIFの改革がにわかに脚光を浴びてきた。
これには当然の背景がある。GPIFは実は120兆円という、とんでもない大きな金額を運用している。その約6割を国債運用していて、株式でも少し運用しているが、株式の株価が上昇したことにより、その全体の運用に占める株への投資の割合が上限に近く迫ってきた。これ以上株に対する投資を増やそうとすれば枠組みを変えなくてはならないという状況の中でGPIF全体の話が出てきた。
一般に伝えられている所によると、まずは今の法律の枠組みの中で出来ることをやるということだ。運用委員会というのがあるが、その運用委員会のメンバーの人気が切れるということもあり、積極的な見直しの人たちを入れていこうとなると思うが、やはりその先にGPIFの枠組をどのようにしていくかということについては今後非常に大きな問題になってくる。
興味深いのは同じような公的な年金基金、例えば地方公務員の年金基金といったような物があるわけだが、そのようなものの中にはかなり柔軟に運用している所がある。その意味では今の法律の中でもGPIFは内規を変えるだけで柔軟な運用ができる可能性があるので、そうした点も含めて早急にGPIFの改革は進んでいるというメッセージを市場に示して欲しい。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2014.04.30 11:04

今後2つの観点で注目が大きくなる中国

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世界経済には常にいくつものことが起こるが、これから半年くらいの間に中国経済に対して非常に大きな注目が集まるのではないかと考えている。先日パリを訪れた時に習近平国家主席がパリを訪れていて、同じホテルだったのでとても物々しい警備で、中国とフランスの関係を感じることとなった。
今後2つの点で中国は注目されることとなる。1つは今のロシア軍のクリミア侵攻で中国がどちら側につくのかという点だ。中国は今まで外政には不干渉ということで中立な立場を保っているが、その立場を保ったままでいくか、ロシアもしくは米欧側に近いスタンスを取るのかで今後の地政学的な状況に大きな影響を与えるため大きな注目がされる。
もう1つは中国の経済成長率が下がってくるのではないか、そして成長率が低下する過程で様々な社会問題が表面化するのではないかという懸念だ。李克強首相の周辺のエコノミストたちは経済成長率が低下するということをむしろ先の全人代で明示すべきだという考え方だったわけだが、政治的な配慮から7.5%成長を続けるという言い振りになった。しかし、これを続けるのはかなり無理があると思われるし、シャドーバンキング等々の影響を最小限に抑えるためにも少しづつ成長率を低下させて膿を出すという政策が必要になってくる。李克強首相の政策、リコノミクスが正念場を迎えているとも言える。
以上2つの店で、中国への注目は極めて高くなっていくと考える。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2014.02.24 11:24

オリンピックでポジティブな遺産を残すように計画すべき

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オリンピックとパラリンピックの誘致、2020年の東京開催が決まってから何ヶ月も過ぎている。しかしその割にはその準備が進んでいないように見受けられるのが少し懸念される。実はオリンピックというのは2つの意味で我々に出来ないことをもたらしてくれると思う。
1つはオリンピックだからということで、色んな改革が進められインフラの整備も進むということである。しかしもう1点忘れてはならないのが、オリンピックはポジティブにもネガティブにも遺産を残すということである。この点に配慮して非常にじっくりと時間をかけた準備が求められる。オリンピックの組織委員会、オーガナイジング・コミュニティは決まった。しかし、これはオリンピックというイベントを開催するためのものである。
1964年の東京オリンピックを振り返ると非常におもしろいことが起こっている。ホテルオークラはオリンピックの2年前にできた。そしてホテルニューオータニもホテル東京も、そして今のキャピトル東急、旧ヒルトンホテルも実はオリンピックの年に開かれている。東海道新幹線はオリンピックの開幕式の9日前に開通した。羽田の東京モノレールもこの年に開通をしている。まさにオリンピックだから色んなことが出来たというのは間違いのない事実である。
しかし例えばギリシャのようにオリンピックでお金を使って、その後、非常にネガティブな遺産を残した国もあれば、ロンドンのようにオリンピックがきっかけとなってホテルが整備され、会議場が整備され、それがコンベンション・シティーとしてのロンドンの機能を高めたという例もある。つまりネガティブなレガシーも、ポジティブなレガシーもあり得る。
今度のオリンピック、パラリンピックに向けて、東京は例えばバリアフリーの街を作り、そしてしっかりとした施設を作るべきだ。とりわけ、羽田の施設の拡充というのは極めて重要である。羽田空港からは今、19の都市にしか行けない。成田を合わせても88の都市にしか実は東京からはアクセスできない。ロンドンはなんと350都市、パリは250都市にアクセスできる。こうしたアクセスの改善を思い切って進めるということを視野に入れて、オリンピックだからこそ、今の時期にやるべきことをやるべきだ。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2014.02.10 08:09

橋下徹大阪市長の英断

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大阪の橋下徹市長が自ら辞任をして、もう一度市長選に挑むという選択をした。それについて多くの見方としては市長選を1回行えば6億円のお金がかかるため、6億円の無駄遣いという指摘が多くされている。
しかし、私としては橋下徹市長の決断を高く支持したい。理由は簡単で府と市の統合は非常に重要であり、府と市の統合、大阪都構想というのは是非進めなくてはならないと思うからだ。それに対して協力的ではない政党が多い。1つの選択は議会を解散するということだったわけだが、今の維新の力からすると議会の選挙で勝つのは難しいため、そうであるなら市長選で橋下徹さん個人の人気に頼った形でとにかく勝利して府市統合に勢いを付けたいのだと思います。
6億円の無駄遣いというが府と市の二重行政によって毎年毎年その何倍ものお金が無駄遣いされている。そのことを考えると6億円1回の選挙の支出というのは決して高いものではないと考えなくてはならない。二重行政を廃することが重要であって、政策の中身についてしっかりと議論をしなくてはならない。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2014.02.08 10:30

特区の区域会議の作り方が今後重要になる

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1月の30日に特区諮問会議の第2回目の会合が開かれた。国家戦略特区に関する法律が昨年の12月に決められて、そして今年に入ってから既に特区の諮問会議が2回開かれた。前回の諮問会議では基本方針、今後特区をどこにするかという地域指定等々を行わなければいけないわけだが、そうした基本的な運用の基本方針を特区諮問会議として了承したという点が大変大きな特徴になっている。
その中身は例えば特区に使命されるところは、当然のことながら、自治体や民間企業にやる気と努力がなければならない。そしてスピード感を持ってやっていけ、さらにはそれが全国的な波及効果を持っているという条件を満たした所でなければ特区の指定はしないということを確認した。
しかし、今後残された課題はいくつかある。更に地域からのヒヤリングを重ね3月にはどこを特区として指定するかという地域指定をしなければならないし、その後間もなく特区に指定された場所の区域会議を立ち上げなければならない。今までに前例のないようなシステムであるので、区域会議をどのように作るかが、特区の成否を決めるという風になる。特区にどこが指名されるかという指定のみならず区域会議の作り方に大いに注目していただきたい。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2014.01.21 19:32

都知事選に問われている大義

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都知事選が慌ただしくなってきた。舛添要一さんが自民党等々の指示を得て立候補する一方で細川元首相が立候補するということで脱原発を掲げるという点で小泉元首相がそれをサポートするということで大変盛り上がった構図となっている。しかし、それぞれについて考えるべき問題がある。
舛添さんについてはやはり自民党を除名され自民党や安倍政権を批判してきた人で、その人を自民党が支持するというのはどこに大義があるのかということが問われる。この点については小泉進次郎議員が大義がないということを明快に言って世間の共感を得ているようであるが、この大義をどのように打ち立てていくのかということが舛添さんに問われてくる。
一方、細川さんに関して言うならば、東京都の政策であるから、エネルギー問題というのは一国の問題であるから、一国の問題をどこまで都政で争っていいのか、都として本来議論すべき政策があるのではないかという点が、やはり大義として問われる。
このような選挙をシングルイッシュ・エレクション、ないしはこういう候補者をシングルイッシュ・キャンディデイトと呼ぶが、シングルであることが悪いわけでは決してないのだが、やはり東京都本来のやらなくてはならない政策がたくさんあるわけだから、それをどのようにやっていくのかという大義が問われる。その意味でも有力候補と見られる舛添さん、細川さんそれぞれに大義が問われている点があるということが実に興味深い所だ。この大義を争って堂々たる選挙をして欲しい。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2014.01.17 14:39

国家戦略特区の鍵はスピード感とPDCAサイクル

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国家戦略諮問会議の第一回目の会合が1月7日に総理官邸で開かれた。私も諮問会議の議員を拝命したわけだが、是非、この国家戦略特区を成功させねばならないと思っている。昨年の4月17日の競争力会議で始めてこの特区の提案をしたわけだが、考えてみるとそれから8ヶ月後にきちっとした法律になった。そしてその法律が施行されてから4週間後に諮問会議が開かれたということだから、実はそれなりのスピード感を持って、ここまで話が進んで来た。今後様々な議論をしていくわけだが、特区をどのような形で運営するのかという基本方針に関してはいくつかの重要な点がある。最大のポイントはやはりスピード感である。特区というのは全国展開ではなかなか時間がかかって難しいから特区でやるのである。よって特区というのはスピード感があって当たり前でスピード感のない特区というのはそもそも特区としての意味が無いということである。スピード感を重視するということが重要なポイントの一つになる。
その意味では今年の通常国会で新しい規制改革の項目を追加して法律改正するということを視野に入れてしっかりと議論を進めなければならない。もう1つは成功させるためにはPDCAサイクルを確立させなければならない。具体的には2つあるのだが、特区で成功した規制改革については速やかに全国に展開することだ。そしてもう1つ重要なのは、これまでになかった問題であるが、特区に指定してもそこが上手くできない場合は特区の指定を見直すという対応が必要だ。特区に指定された地域はいい意味で競争心を持って緊張感を持って、お互いを切磋琢磨していき良い特区に仕上げていくというインセンティブが必要になってくる。ともあれ、3月を目指して特区の地域を指定して、そしてそれ以降は各地域の区域会議を立ち上げなくてはならない。大変忙しい日程ではあるが、この特区の運営如何でアベノミクス全体の評価も変わってくる。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2014.01.02 22:39

新年のご挨拶

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2014年明けましておめでとうございます。Policywatchもますますエネルギーを蓄えて政策を良くするための色んな情報発信を行っていきたい。昨年、アベノミクスはスタートとして上々であったが、しかし第3の矢、成長戦略では次第に厳しい見方も出始めている。アベノミクスが今年さらにパワーアップするのか、腰折れするのか、大変重要な分かれ目の年になる。そうした観点からPolicywatchもしっかりと見ていくので、皆様も是非私達の動きに注目していただきたい。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2014.01.02 22:38

2014年は大きな分かれ目となる

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先週、香港に行って来た。香港でアナリスト、エコノミストと議論してきたが日本はアベノミクスで本当に変わるのか、非常に厳しい声も聞かれるようになってきた。2014年はその意味でも大変厳しい分かれ目になる可能性がある。ここで一気に改革を加速するのか、もしくは改革熱が冷めてしまうのか、それによって経済の動向、株価の動向も大きく変わる、その分岐路に立っているのが2014年である。
一番重要なのは2014年度に一体何を成すのか、政権としてどのような経済対策を成すのかというアジェンダ、戦略的アジェンダを明確的に作ることではないか。これは別の言い方をすると、来年の通常国会にどのような法律をだして、どのようなことで競うのか、その政策の目玉が欲しいところだ。
あくまで個人的な意見だが、私はやはりそこで税制の問題を議論しなくてはならないのではないかと思う。海外の投資家から見て一番わかりやすいのは、日本の世界一高い法人税がどうなるのか、というところが1つのシグナルとなる。また、東電の問題が本当にこのままでいいのか、本当にこのままで汚染水を抑えることができるのか。法人税と東電という非常に難しい侃々諤々の議論になるのは目に見えている問題だが、こういう問題をあえて戦略的アジェンダとして設定して、そして改革の熱意、モメンタムを高めていってほしい。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2014.01.02 22:35

財政再建のやり方の議論が先であるべき

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財政再建に関連して、財政改革法のような法律を作って、それによって義務的にしっかりとした枠組みで歳出を減らし増税を行って財政再建をすべきである、という言い方が浮上している。この財政構造改革法といった法律は実は橋本内閣の時に一度作られたのだが、結果的に見るとこれが自由な経済政策を制約する形になり、経済を失速させるという結果をもたらした。
結論から言うと、こういう法律を作るという議論が先行すること自体が間違っている。法律を作ったとしても一体どのようなやり方で財政を再建するのか、その中身の議論がなければ意味がない。経済財政諮問会議などで行うべきなのは、この政策の中身の話であり、中身がしっかりと固まったとして最後にそれを法律にするのか、もっと柔らかい仕組みにするのか、ということが手順として議論されるべきである。
先程も言ったように政策を硬直的に作ると自由なマクロ経済運営の手足を縛ってしまうことになる。実は皮肉なことに財政構造改革のための法律があった時に財政再建に失敗して、その法律がなくなってから、2002年から2007年にかけて法律がない下で経済財政諮問会議主導でしっかりとした経済運営を行ったから財政が再建されたという事例がある。
結局のところ財政再建が必要だということは多くが認めるとしても、必要なのはそれをどのように進めるのか、どのようにどの項目を歳出削減して、必要な増税をどの程度行うかという中身の問題であって、兎に角、何がなんでも財政再建しようという枠組みの法律を作るだけでは物事は何も解決しない。そのことは強く認識すべきである。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.12.11 11:58

社外取締役を増やす方向を義務付けるべき

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会社法の改正案が閣議決定されている。秋の臨時国会では審議する時間がなかったということで来年の通常国会で議論されることになる。
色んな問題点があるが、やはり大事なポイントは独立した社外取締役の義務付けを行うかどうかということであった。結果は経済界が非常に強く反対したことで、義務化は見送られた。しかし、これに対しては政治が見識を発揮するという形で修正が行われた。良い修正の方向であった。
1つは、社外取締役を置かないのであるならば、なぜ置かないのか、なぜコーポレート・ガバナンスが保たれるのかという、理由をちゃんと説明する責務、義務があることを法案の中に書くという修正が行われた。そして、更に、見直しの条項が入れられた。本当にこれで良いのかということを1年で見直すということが決められ、これは政治が見識を発揮して少しではあるが、方向を良くしたということだ。
ただ、やはり振り返らなくてはならないのは、日本の場合はコーポレート・ガバナンスが非常に弱いということだ。アメリカのような国では実は取締役の権限が非常に強くなっていて、だからこそ、取締役会が上手く機能するように社外取締役を置かなければならないということで制度が進化してきた。日本はそれに対して、むしろ株主総会が強い力を持っているという国だ。しかし日本の場合はこの株式の相互持ち合いあることによって、肝心の株主総会が十分なコーポレート・ガバナンスのチェック機能を果たしていないという問題がある。日本では取締役会も弱いし株主総会も弱く、だからコーポレート・ガバナンスも効かないという形になっている。問題を解決しなければならず、改善の方向は明らかである。社外取締役を増やすような方向を義務付けること、そして更には持ち合い株の解消に向けて規定を作って株主総会の力を強めるというのが成長戦略の重要な基本になる。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.12.11 11:57

規制の強化は政府の監視が必要

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成長戦略の一丁目一番地は規制改革であると産業競争力会議の第1回目に私がそのように申し上げて、安部総理が色んな所で引用してくれている。残念ながら今、規制改革会議そのものは非常に弱体化していて、規制改革を進めるというような力はなかなか見えていない。結果的に世界銀行の規制改革のランキングを見ると、日本はかつて28位くらいまで一時順位を上げていたのに、今では世界で47位と大変遅れをとっている。そこで実は特区を作って、特区で岩盤規制を崩すという法案を政府が国会に出して審議がなされていて、その特区には大いに期待したい。
しかし、その一方で細かい点ではあるが、規制の強化が随所で進んでいるというのが大変気になるところだ。こうしたことに対する規制再強化の検証をどこかでしなくてはならない。もっとも典型的なものとしてタクシーがある。タクシーの台数が増えすぎて云々ということをずっと業界は言ってきたが、タクシー会社が潰れたという話は一向に聞かない。にも関わらず再びタクシーの規制を強化するという露骨な運動が出てきている。更に、もう1つ、バスがある。バスについては、事故もあったということもあって、その労働監督をしっかりしなければならないというのは間違いないがバスの運行そのものについても、実は非常に厳しい規制がはめられようとしている。現実問題として、一時、例えば東京大阪のバス料金というのは安いもので3,000円をきるところまで行っていたのが、今では5,000円くらいに戻っている。その一方でLCCは東京大阪間の1番安い料金で3,000円で飛ぶという時代になっているわけだから、このような規制の強化について、政府の然るべき部署でしっかりとした監視をしていくことが必要な段階になっている。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.12.11 11:51

更なる金融緩和で日銀が考えるべき2つの問題

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日本銀行が新たに金融政策の次の手段を打つかもしれないということが話題になりはじめた。今年4月4日、黒田体制の元で最初に開かれた金融政策決定会合で非常に積極果敢な金融緩和策が取られ、2年間で日銀が出すベースマネーを2倍に増やすとわかりやすく且つ積極的な政策が評価され、これが人々の期待を変えるというのも手伝い10月末の時点では株価が前年に比べて6割も上昇するという成果をもたらした。
しかし、ここで日銀は2つの問題を考えなくてはならなくなった。1つはこれまでの政策は評価されるとしても、来年4月に消費税が引き上げられるが、それによって経済が下押し圧力を受けるが、それを緩和するためにもしかしたら金融面から経済を支える新たな手段を講じなくてはならないかもしれない。これが第1の視点である。第2の視点としては各国のアメリカやイギリスを中心とする先進工業国の金融政策が動くかもしれないということだ。アメリカでは次の総裁にイエレン氏が決定し、当面金融の緩和は続けるということになったので、日銀としてもほっとしているかもしれないが、もしも各国の金融政策が動くとなれば、それに合わせた日銀の金融政策の微調整も必要となってくる。
いずれにしても、各国の金融政策の相対的な関係が為替レートを決めて、そしてその為替レートが景気と株価に影響を与えるという構図は変わらないものであるから、日銀としては各国の金融政策を睨みながら、国内の消費税増税を睨みながら非常に機動的でナイーブな金融政策を年明けから続けなくてはならないということになる。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.11.18 17:48

政府はこれから何に取り組むのかを指し示す必要がある

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11月になったが、10月末の時点で1年間の株価は日本の場合6割上昇している。アメリカは2割弱、ヨーロッパはドイツで2割強という具合であるから、日本の株価の上昇がダントツに高かったということは間違いない。その意味でアベノミクスのこれまでの成果については高く評価しなくてはならない。
しかし、政府にはやり残した問題が明示的にいくつかあるということをはっきりさせた上でこれからどのように取り組んで行くのかということをしっかりと指し示していかなくてはならない時期に差し掛かっている。
最大の問題はやはり社会保障改革である。今回消費税を来年の4月に引き上げるということを決めているが社会保障改革なしで、消費税だけを引き上げても財政再建はできない。社会保障に関しては相当思い切った給付の削減を含むような大改革をしなくてはならない。このメニューをやはりまず示していかなくてはならないと思う。
そしてエネルギーの長期の在り方について、3年で結論を出すということを自民党は約束をしているが、その議論を明示的に始めるということも必要なのではないだろうか。脱原発をめぐって小泉元総理が積極的な発言をしているということも当然視野に入れて、本当に日本にとっての長期的なエネルギーの在り方を議論し、そこからさかのぼって東電問題をどのようにするかという所にそろそろ移って行くべき時期でないだろうか。
そして3番目に、これまで議論がなされていない問題として地方分権の問題がある。この地方分権の問題をしっかりと議論しなくては実は消費税の在り方も議論できない。地域に偏在しない税源というのは圧倒的に消費税であるから、消費税を地方分権のために本来は扱わなくてはならない。今のように社会保障にだけ偏った議論をしていくということは許されないのではないだろうか。
もちろん改革や経済政策は一気にはできない。従って、これまで今までのような形で日銀の金融政策を考えて、そして財政を短期的に拡大し、これまでの政策は正しいのであるが、今までの政策が正しいからこそ、次の段階に何をやるべきか、このことを明示的な議論を始める必要がある。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.11.17 12:09

規制改革が進まなければ経済の再生はない

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安倍総理はこの臨時国会を成長戦略実現国会というふうに位置づけました。6月に成長戦略が出されそれに関連する法律をこの国会に提出し、そしてあくまでも経済を中心に据えて政権運営をしたいというのが安倍総理の狙いである。現実問題としては成長戦略をかなり強力に推進できる面と、必ずしも順調には動かず、やはりなかなかの抵抗があるという面の両面が今交錯していると思われる。
実は産業競争力強化法という法律が今回出されているが、この法律はどこに注目していいのかわかりにくい法律になっている。その中で規制緩和を進めるために例えば鉄鋼メーカーが厚生労働省や介護などの関連で事業推進するのに何か問題になる場合、これに対しては所管の経済産業省に申し出て、経済産業省が厚生労働省と協議するというような内容のものも含まれている。規制緩和が進めばそれはそれでマイナスではないが、所管官庁の力がますます強くなる可能性がある。その意味では、逆に政府主導で民間ができることは民間でに反するのはでないかという見方もできる。
このようにどう解釈していいか、わかりにくい法律も含まれている。その一方で国家戦略特区に関しては、これはまた非常に大きな抵抗があるなかで、自民党の部会等々で非常に建設的な議論も出されて、なんとか良い方向にその法案がまとまりつつあるというのが現状である。
やはり規制改革が進まなければ経済は再生しないし、成長戦略は実現されない。この成長戦略、規制改革の最先端として、この国家戦略特区が上手く認められるか、それを速やかに実行していくのかどうか、それがアベノミクスの成否を決めると思われる。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.10.28 10:59

税制決定の在り方を見直す時期

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経済政策を語る時に、どうしてもその中心課題として、語らなければならない問題がある。税制である。税制こそがこの国の形を示すと思う。司馬遼太郎さんの随筆で「この国のかたち」という名作があるが、経済に関するこの国の形はやはり税制に表れる。政府というのは行政指導をしたり、補助金を出したり、色んなことが政策手段として考えられるが、そのもっとも明確で究極的な形は税制であると思う。その税制に関しては、その決定のメカニズムが非常にややこしい形になっていた。税制調査会というのが政府の中にもあるが、現実の税制は党の税調、与党の税調で決まっていた。そしてこの与党の税調というのが奥の院のような形でインナーという非常に影響力の強い人達が居て、その人達がコントロールしていたとなっていた。時の総理と言えども、なかなかそれに口出しができなかった。
2002年に経済財政諮問会議で、税制のことを実は与党や税調に遠慮しながらもようやく始めた時、小泉総理大臣は税調のドンと言われた山中貞則先生の所に、このことの仁義を切りに挨拶に行ったという、大変有名な話になっている。
しかし、税調のインナーのメンバーも大きく変わり、大きく若返っていて、今はやはり税制そのものをオープンな場で議論し、経済政策の中心である税制を、今までのような古い形ではなくオープンな形で議論するという形に持っていく非常に重要なチャンスなのではないかと思う。消費税と同時に法人税率を引き下げるというのも重要であろうし、特区等々でどのような税制措置を取るのかも重要であり、内閣の中心に税制がある。税制については中身の議論もさることながら、その税制の決定の在り方を見直すという時期に来ている。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.10.28 10:53

経済財政諮問会議と産業競争力会議の強化と連携

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安倍内閣はアベノミクスを掲げて、今のところはっきりとした経済政策の面で成果を出していると思われる。今年の9月の末を比べると、その前の1年間でアメリカの株が1割の上昇に対して、日本の株は6割上がったわけであるから、そのいみでスタートは上手く言っている。
しかし、一部に批判があるのは経済財政諮問会議があり、産業競争力会議があり、さらには規制改革会議があるというように、会議が乱立していて、司令塔機能がはっきりしないと言われている点にある。こうした点を踏まえて経済財政諮問会議と競争力会議の連携をどうとるかという議論がようやく始まったようだ。
私自身、提言したいのは、内閣府が8月に経済財政の中期の展望見通しを出していて、この中に成長率がどうなる社会保障をどうするというような要素が全て含まれてくるので、この内閣府の財政、経済の展望を軸にして、財政諮問会議は何を実現するのか、そして産業競争力会議は何を実現するのか、そういう事をしっかりと連携して議論していく必要がある。
連携という言葉が安易に飛び交っているが災害の問題は経済財政諮問会議も力不足、そして産業競争力会議も力不足でそれぞれが力不足である。お互いが切磋琢磨してそれぞれの機能を強化させながらやって、やじめて連携が生まれるわけだから、そうした意味でのポリシーボードの強化と連携を期待したい。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.10.27 13:40

今後の中国の長期予測

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隣国の中国はGDP世界第2位の経済大国である。リーマン・ショックの後は中国が世界経済を引っ張るという形で世界経済にも貢献した。当面、中国は色んな問題を抱えながらも、経済が急に失速することはないというふうに多くの人が考えている。しかし、長期的に中国はどのようになるのか、いくつかの長期予測が出されているが、そこでは意見が大きく別れている。
悲観的なものの見方をする者の代表として、昨年ロンドン・エコノミストが出した2050 Mega Changeというのがある。ロンドン・エコノミストがこれからはイノベーションの競争の時代になり、従って自由のない中国経済はイノベーションを起こせずに大変困ったことになるであろうという予測をしている。それと同じようなトーンで悲観的な予測をしているのが、最近中間報告をした日経センターの2050年予測だ。この場合、日経センターは明らかに中国は中心国の罠に陥ってイノベーションが出来ずに経済が長期的に停滞していく、そこに人口減も重なるという、非常に悲観的な予測をしている。
これらに対して、中国に対し比較的明るい長期予測をする所もある。ローマ・クラブの成長の限界にも携わったヨルゲン・ランダースという環境経済の専門家が居るが、これからは環境保全のために相当の投資をしなければならないが、それは市場ではできず国家の役割が極めて重要になると言っていて、その意味では国家の役割を重視いている中国は比較的優位で、むしろアメリカの方が問題だという指摘をしている。
市場を重視するのか、国の役割を重視するのか、この問題は2050年に至るまでの長期の中国の在り方、その予測にも大きな影響を与えている。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.10.14 13:19

意味のある特区作りとスムーズな法律改正が必要

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成長戦略の一貫として国家戦略特区をどのように作るのか実は秋の臨時国会に向けて、その準備が非常に積極的に進められている。日本にはこれまで10年も20年も議論されながら、現実問題としてなかなか変化の出来ない頑固の姿勢、岩盤規制というのがあった。この岩盤規制に風穴を開けるべく、まず特区で、この規制を緩和して行こうではないかというのが、戦略特区の基本的な考え方である。
その際の重要な点は規制改革の項目を明確にしておくこと、規制改革をするには法律改正が必要なものもあるから、そういう法律改正項目を明確にした上で、どこにどのような特区を指定するかという、順序が大変重要になる。ともすれば東京を特区にする、大阪を特区にするというような、安易な議論が先行しがちな中で、今回ワーキング・グループが非常にしっかりとした規制改革項目を議論するという形で進んでいるので、なんとか良い方向に議論が進むのではないかという希望が出てきた。しかし、ワーキング・グループは15の岩盤規制の風穴を開けるべく項目を掲げているが、その中にはかなり進展したものもあるが、まだまだ進展が足りないものもある。特に雇用に関する規制改革は1部のメディアが非常に歪んだ報道をして解雇の特区であるとか、解雇の規制緩和であるとか、煽るような非常に間違った報道をしているので、その動向が危ぶまれている面もある。
しかし、残された時間はまだあるので、きちっとした規制改革の議論をした上で意義のある構造改革特区作り、意味のある戦略特区を作る、そのための法律改正をスムーズに行うことが期待されている。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.10.08 16:48

原子力の3つの問題を解決しなくてはならない

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福島第一原子力発電所の汚染水問題を巡って、ここのところ海外の論調が非常に厳しくなっている。もちろん国内でもこの問題は大きな話題になっているが、私の認識する限り、国内よりも海外で日本は大丈夫か、本当にしっかりと汚染を止められているのかという厳しい論調が出ているように思われる。安倍総理はこの問題に関してオリンピック招致の最終プレゼンテーションで自体をコントロールされていると明言したわけだが、国内には厳しい議論も残されている。そして、なによりもこれまでの安倍自民党政権にとって、エネルギーに関する問題が結果的には先送りされているという点がこの際問われてくる可能性がある。このエネルギー、原子力発電所については3つの問題が立ちはだかる。
1つは今まさに立ち上がっている汚染水の問題で、これが短期の問題である。そして中期的には、東京電力をどのようにするのかという問題がある。今回、この汚染水の問題に国がお金を使うということを決めたわけだが、実は特定の民間企業に政府のお金をどう使うかという大義名分の問題がある。当面はこれは技術に注目した研究開発のお金として政府はお金を使うということだが、これはいかにも苦し紛れである。やはり東電はこのままではダメだ、東電を一度国有化して徹底的に中身を精査する必要があるという意見は当然に浮かび上がってくる。これが中期の問題で、そして長期の問題としては一体日本のエネルギー政策をどうするのか、その中で原子力をどのように位置づけるのかという問題だ。記者会見で安倍総理は原子力への依存度を下げていくということを明言され、周囲も少し驚いたわけだが、そうした方向を私自身は目指すべきだと思うし、長期の問題に関しては3年以内に方針を決めるということは、これは自民党の選挙での公約にもなっている。短期、中期、長期、それぞれについて、この問題に決着を付けなければいけず、そうしなくては2020年のオリンピックは迎えられない。安倍総理の指導力が大変注目されるところだ。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.10.01 16:38

強い政治の意志を持った李克強首相

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先週中国の大連でサマーダボス会議があった。私も出席してきたのだが、そこには李克強首相も登場され大変大きな話題を呼んだ。李克強さんの話にはいくつか印象に残る点があった。まず、李克強さんは北京大学の経済学博士でバリバリのエコノミストであるわけだが、スピーチの内容は我々エコノミストから見ると非常にわかりやすい経済学的な組み立ての話をされて、理論整然としていて、我々には大変聞きやすかったわけだが、逆に言うと非常に硬い話で一般の方々から見ると政治家としての話に面白みが若干欠けるというようなことだったのかもしれない。
いずれにしても改革を進めて中国経済を強くするという非常にオーソドックスな話を力強くされたというのが第一の印象であった。第二の印象はそれに関連するが李克強首相が明確に短期の経済対策はあまり行いたくないというニュアンスを非常に色濃く出していたということだ。リーマン・ショックの時に非常に大きな財政出動をした。これによって中国経済は減速せず、結果的に世界経済が減速するのをストップさせるという大きな役割を果たしたわけだが、結果的にそのお金が非常に緩い使われ方をして、中国経済の構造を悪くしている、蝕んでいるという認識を李克強首相は明確に持っておられるのだと思う。
政府が簡単にお金を出すことによってもたらされる経済の弱体化。それに対して非常に強い姿勢で臨むという李克強政権の政策、まさにリコノミクスの名目躍如のようなスピーチをされた。日本ではアベノミクスが注目されているが、中国、東アジアではリコノミクスが注目されている。いずれにしても非常に強い政治の意志の下できちんとした体系的な経済政策を行っていくという状況に日中があるというのが、実は一見日中関係があまり良くないように見えるが現実に両国がしっかりとした経済政策の枠組みを持っているということは評価されて良いことだと思う。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.10.01 16:34

2030年を目指した長期ビジョンを描け

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オリンピック、パラリンピックが2020年に東京で開催されることになった。大変喜ばしいことである。これから色んな形で2020年に向けて政治が進んでいくと思うし、改革・経済再生に対する求心力も高めていくことが可能であろう。しかし、私は残された課題があると思う。
以前の第1回目の東京オリンピックの時は戦後焼け野原になった日本がこんなに復興した、こんなに立派になった東京を見てくれという熱い想いと強烈なメッセージが世界に対してあった。今回世界に対して、東京で、ココを見てくれというメッセージはなんなのだろうか。残念ながらそれはまだ気づかれていない。そこで内閣に提唱したいのは大平内閣で行った13の委員会を作って、長期のビジョン、日本の在り方を作り、そしてその中に「環太平洋連携構想」であるとか、「田園都市構想」など今の政策の基礎になるものが出てきたわけだが、この際2030年を目指した長期ビジョンを安倍内閣の下で作るということを提唱したいと思う。そして、その2030年のビジョンの中でオリンピックの開かれる2020年を中間目標年次として、そこで日本のここを見てくれというような求心力を作っていくことが大事だ。これから安倍政権は長期政権を目指して改革を進めていくわけだから、この際、そのような大きな絵を描いてしっかりと改革を進めていく、そういう方向をオリンピックを契機に是非目指して欲しい。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.09.11 23:00

内閣の現体制でより進展した議論ができるか

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内閣改造を行うのかどうか、参議院選挙が終わった後、この点に非常に大きな注目が集まっていた。政治家は自らに入閣の可能性があるかないか、ないしは今よりも高いポジションを得ることができるかどうか、政治家自身がこうした人事や内閣改造に興味を持つのはわかるが、それ以上に、むしろ一般の人々の内閣改造への関心は高かったというふうに思う。自民党総裁選が終わって最初の組閣を行った時点で自民党総裁選の時の論功行賞を非常に重視した形で、今の安倍内閣が作られている。従って必ずしも総理の政策を実行するのに、このような体制が一番いいのかどうかということが十分に吟味されていない体制になっているからだと思う。この際、参議院選挙で勝ったことをきっかけに思い切った内閣改造をして、安倍総理の政策を実行していくような体制を作ってもらいたいという期待が非常に強かったわけだが、結果は安倍総理は明確に内閣改造を見送るという発言をした。
これにはいくつかの理由がある。経済は悪くなく比較的良く、支持率は高く、さらには選挙で大勝した、その意味では現体制を変える大義名分がないということなのかもしれない。しかし、本音はやはり今の良い状況、支持率が高く政策がそこそこ上手く行っている状況に波風を立てたくないというそれなりの判断があったのではないだろうか。
重要な点はここまでのアベノミクスの展開はいいが、今後さらにこれをパワーアップしなくてはならないわけで、そのパワーアップが今の布陣でできるかどうかというところは非常に大きな問題点が残るところではないか。ともあれ、そのような人事体制で行くのであれば経済財政諮問会議や産業競争力会議で従来以上にしっかりとした改革の議論をしなくてはならない。今の体制の中での議論の進展に注目しなければならなくなった。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.08.01 09:44

来年度の予算編成は作り方が大事

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参議院選が終わっていよいよ来年度の予算編成をどのようにするかということが、話題になりつつある。全ての政策にはお金の裏付けがいるから予算を編成するというのは大変重要なポイントになる。そして同時に予算の規模によって、これはマクロ経済に対する、財政政策の規模を表すわけだから、それがどのような理念の元で、どのような経済に対する現状認識のもとで、どのような規模になっていくのか、というのがもう一つの重要なメッセージになる。しかし残念なことに、今伝えられているニュース、状況から判断する限り、今回の予算については、非常に枠組みがはっきりしない予算になるのではないかということが少し懸念される。もちろん今後の議論によるから、暫定的なことは言えないが、どうも経済の状況が不明確なず税収の見込みも上手く付かないので、全体としての予算を枠組みをあまり決めないでとりあえず公共事業等々を10%削減し、社会保障をどれだけ認めるというような積み上げ型の議論になりつつあることが、大変懸念される。
これでは民主党政権の時に作られた予算と全く同じで、全体の枠組みをまず決めて、そして必要なお金を割り振って行くというような、本来の骨太方針、経済財政諮問会議で決められたような予算の作り方にどのように持っていけるかということが、今後の重要な課題になる。それにしてもやはり重要なのは経済財政諮問会議の役割である。
安倍内閣のもとで経済財政諮問会議が復活したが残念ながらその存在感は決して強くない。ここは経済財政諮問会議、とりわけその民間議員に頑張ってもらってきちっとした、枠組みの明確な予算づくりに進んでいってもらいたい。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.07.22 09:22

国会改革と公務員制度改革を手始めとするだろう

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選挙が終わりました。予想通り自民党、公明党の与党がかなり大きく議席をとったという結果になったわけだが、これから安倍内閣はどういう政策をとっていくのか、スタートダッシュが非常に注目されるところだ。
もちろん、経済改革に力を入れて欲しいわけだが、最近注目される動きがある。それは改革を進めるためにも政策を作る枠組みをまずしっかりと作りたい、という意向が総理や官房長官、総理官邸にかなり強いのではないかと思われる。そのために例えばだが、国会改革をやるというようなことを官邸は考えているのではないだろうか。そして、公務員制度改革をやるということを官邸は考えているのではないか。確かに、国会を改革して、大臣が行政に専念できるような環境を作らないと良い経済政策はできない。そして、公務員が政治主導の元でしっかりと自分たちの省益のためではなく、国益のために働く、且つ、外部から優秀な人材を登用するためにも今の公務員の降格人事を認めさせるという仕組みを作っていくことは、経済政策を良くする上で大変意味のあることだ。是非、国会改革はしなければならない。むしろ国会答弁というのは副大臣が中心となってやるべきで、大臣は国務に専念し、且つ、重要な国際会議には自由に出られるという環境を作るべきだ。
ただし、この政策は政策としては本道というか、王道ではあるわけだが、やはり若干のリスクがある。それは国民からみると自分の給料はどうなったんだ、デフレは収まったのか、という目に見えた成果を求める。目に見えた成果をしっかりと作るためにもこのような国会改革や公務員制度改革が必要で、これにあまりに労力を取られすぎると、国民はなかなか評価してくれないという側面もある。目に見えた成果を出すということと、そして根本的な改革のための、枠組み作り公務員制度改革や国会改革をやるというバランスを非常に上手く進めていく必要がある。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.07.22 09:21

アジア諸国のアベノミクスに対する期待

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先日、香港でアベノミクスに関する講演会が開かれた。そこで内閣府の西村副大臣が基調講演をして、それを受ける形で東京大学の伊藤元重さんと私がパネリストとして加わりパネルディスカッションを行った。アジアソサエティーで開かれたこの会合には300人、400人というような非常に多くの投資家が押しかけてきて、改めてだが、アベノミクスに対する期待の高さを伺えたような気がした。
より正確に言うと、やはり中国の状況を間近に感じる香港や東南アジアではとにかく日本にしっかりしてもらいたい、日本に頑張ってもらいたい、そういう期待感が非常に強かった。それとは対照的に例えば成長戦略の中身などについては、例えば特区の話にしても、コンセッションの話にしても、GPIFの話にしても重要な点が十分に知らされていないという点に、基本的にはディセミネーション、情報開示の不足、政府の努力の不足があると同時に日本のメディアが国内で正しくそのことを伝えておらず、日本国内で正しく伝えていないからそれが外国に伝わり、外国でも歪められて伝えられているということだ。
いずれにしても成長戦略は不十分だが、その中でも見るべきものがあることはある。それをまずしっかりとやっていけるような体制が作れるかということ。そして、岩盤規制のように残された大きな課題、それをどのようにやっていけるのか、それを如何に海外に発信していけるのか、アベノミクスの推進にあたって、内閣に残されている課題は依然として大きい。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.07.08 09:40

選挙後の政局に問われる首相の手腕

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参議院選挙がいよいよ始まった。暑い中での選挙運動であるから候補者もそれを聞く有権者も大変な夏を迎えたということになる。すでにいくつかの新聞社がアンケート調査、世論調査を行なっているがそれを見る限り自公の圧勝という姿が出てきている。もちろん、これから選挙まで17日間の運動を経るわけだから、その間に変化もあると思われるし、このような世論調査が出たことによって影響を受けるということもあろうかと思う。
しかし、どうも今回の選挙に関しては与党の優位は動かない、と言うより野党があまりに力がないために選挙の結果そのものに対しては多くの関心が失われつつある。そうした観点からいうと、選挙だからやってみなければわからないが、もしも与党が圧勝した場合にその後の政局はどうなるかということに関心が移って行かざるを得ない。
結論からいうと、与党が圧勝した場合に改革の勢いが大きく低下するのではないかということを懸念している。参議院というところは面白いところで、族議員的な議員がどうしても多くなってしまう傾向がある。それは比例区において、特に顕著なわけだが、比例区、全国を相手に戦える候補者というのは基本的には非常に大きな団体から支持された人か、タレント議員しかいない。結果的に族議員的な人が増えてしまい、そしてその声が非常に大きくなってしまう。選挙に勝ったことによって改革への応援が失われる。それに対して安倍総理がどのような対応をするのかということが、もっとも注目されることだ。改革の手を緩めないでアベノミクスを遂行できるかどうか、まさしくアベノミクスは正しいが本当に実行できるかということに焦点が移っていく。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.07.08 09:05

問題多き金融庁人事

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役所の人事、特に次官局長クラスの人事が相次いで発表されているが、その中で非常に注目される人事がある。金融庁の人事である。金融庁長官が留任して、3年間居座るということになった。この人事には大変問題がある。そもそも金融担当大臣は2代続けて国民新党が担当した。そして自民党政権になってから、麻生大臣が就任しているが、もっぱら財務大臣としての仕事をしていて、金融大臣としての仕事はどうなのかという話も聞く。つまり政治のチェックが効かない状況が金融庁に関して相当長い間続いている。そこに金融庁の長官が3年も留任するというのはいかにも官僚独占の官僚主体の歪んだ金融行政になっているのではないかという疑念をもたらす。
現実にマーケットの声は厳しいものがある。金融庁というのは、そもそもがルールに従って、プリンシプルに従って透明なルールの元で行政を進めていくということであったはずが、最近は様々なところで裁量行政の弊害が出ているという声を市場では実にたくさん耳にする。金融がしっかりしない限り、経済の再生はない。コーポレート・ガバナンスをしっかりさせるためには実は金融がしっかりしなくてはならない。この金融が悪くなったから、90年台の日本は悪くなった。ようやく、小泉内閣の元で不良債権をなくして金融が良くなる、金融行政が良くなるという兆しを見せたところで、ここ数年で非常に大幅な反動があったと思う。
安倍内閣の元で金融がどのようになっていくのか、大いに注目すべき点だ。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.07.01 09:12

日本郵政の社長人事を機に民営化を貫徹すべき

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日本郵政の新しい社長人事が決まった。いよいよ西室さんを中心とした新しい経営陣が発足するということになる。
日本郵政は2007年に民営化された。民営化とはどういうことか、辞書によると、民営化というのは民間の経営に任せることである。それにも関わらず、民主党政権ではそれまでの西川体制を大きく崩し2代続いて財務官僚、大蔵官僚の天下りポストにこの郵政の社長をしてしまった。民営化とは大きく異る方向に人事が動いていたわけだ。その間、郵政の改革は非常に大きく後退としたというふうに認識している。今回自民党政権に復帰して、ようやく、民間人の経営者が入ることになった。しかしこれは郵政の立て直しのほんの第一歩である。日本郵政の経営はますます難しい局面に達して来るであろう。まずは新しい民間人の経営者に、これまで3年間の負の蓄積をなくしてもらいたい。その上で政治にはやがて制度、体制そのものを見直すということが必要になってくるから、改めて郵政の法案の改革も含めた再出発を期待したい。いずれにしても、日本郵政の民営化を成し遂げなければ、日本の金融市場や、日本の物流市場が正常化することはない。改革の1丁目1番地としての郵政民営化を、これを機会に貫徹してもらいたい。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.06.24 09:34

成長戦略の評価は今後の体制づくりで決まる

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今週、成長戦略が閣議決定されることになっている。株式相場が大変乱高下しているという状況があるが、その背後に成長戦略に対する失望感が大きいというようなヘッドラインが新聞や週刊誌を飾っている。しかしその一方で大変おもしろい状況としては、例えば日経新聞のアンケート調査によると、成長戦略を評価するかという問に対して、評価する、評価しないがほぼ半々で拮抗しているという状況がある。
つまり確かに成長戦略においては労働市場の開拓や、税制など非常に積み残された課題が多く、不満が多いということも事実だが、過去の成長戦略に比べれば、見るべきものがあるという面も否定できない。とりわけ戦略特区の話やコンセッションの話など今後の進め方によっては日本の成長につながる面も含まれているという位置づけになるのではないか。結局の所、成長戦略をどう評価するかはむしろ今回の報告そのものよりも、今後のチェック体制、積み残された問題をどのように議論していくかという、今後の体制づくりに大きな注目が集まるのではないか。その体制づくりが成長戦略、しいてはアベノミクスの第3の矢の評価を決めるのではないかと思われる。その意味では成長戦略の議論が終わってから、更に7月の参議院選挙に向けて、そしてその後の体制づくり、これがアベノミクスの未来を大きく左右する要因になる。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.06.10 07:04

TOEFLは標準にすべき

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成長戦略との関係で一見小さなことには見えるが私自身が重視している英語の問題について一つコメントしたい。これは楽天の社長の三木谷さんが提案をして総裁が受け止めたことにより一気に進捗したものだ。つまり国家公務員試験の採用試験にTOEFLを採用して欲しいというものだ。それによって、大学でもTOEFLの勉強をせざるを得なくなるし、そうなると入試にTOEFLが採用されるようになり、高校生からTOEFLの勉強をしなくてはならなくなる。TOEFLこそがまさにグローバルスタンダードの英語の勉強方法であるから、そうしたことが国民の中学高校にまで行き渡ることにより英語教育に対する日本のレベルが一気に高まるのではないかという波及効果を期待してのものである。ところが、例えばTOEFLに関しては、TOEFL等を採用するというふうに、TOEFLだけでなく色んな英語試験の余地を残そうというような動きも見られる。しかし、ここには色んな考え方があるかもしれないが、やはりグローバル・スタンダードであるTOEFLを積極的に採用するという方向にどうしても持って行きたいものだと思う。実はここ数ヶ月の間でいくつかの大学が大学の入試の英語にTOEFLを採用するということをすでに発表した。やはりそれだけ波及効果があるということではないか。将来、高校を出て直接アメリカの大学に行く学生も増えるかもしれない。そういう人のためにもTOEFLを標準にするということはやはり重要である。TOEFL等、ではなくTOEFLそのもの、グローバルスタンダードを、英語の試験の基準にしていくということを是非貫きたい。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.06.10 06:03

日本の医療を支えるためのNIH

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目下成長戦略の取りまとめの最終段階に入ったところだ。6月の中旬ないしは上旬に成長戦略を取りまとめて、それを6月にまとめられる骨太の方針の中に入れるというスケジュール自体は以前と変わりないが成長戦略の中身の議論を終えて霞ヶ関、永田町の調整の最終段階に入っている。
成長戦略と言っても打ち出の小槌のようなものはないのだが、その中で関係者が注目しているものの一つとして、日本版NIHを作るという問題がある。ナショナル・インスティテュート・オブ・ヘルスというもので、日本では医療関係、薬品の関係の産業がポテンシャルを持っているのに、薬の認可に非常に時間がかかるとか、研究開発の成果が現れていないとか、そういうことを一気にNIHで片付けようという発想だ。
発想自体は悪くない。例えば製薬業界で日本で一番大きい武田薬品ですら、アメリカの会社の中にまじると14位になってしまう。それくらい日本の薬関係の産業というのは、規模においても遅れをとっているわけで、ここは起死回生を図らなければならないということは間違いない。その意味で日本版NIHを作ることに賛成はするが重要なのは箱を作っても、何もならないということだ。そこに結局役所の横滑りで官僚が来て、今までと同じような看板を掛け替えただけの政策になるという可能性もかなり高いと思われる。その意味ではどのような器にするのか、どのような仕組みのNIHを作るのか、そこまで成長戦略の中身として議論をしておかないと、実は政策の実効性は上がらないのではないか。成長戦略の爪の段階で、そういう点について更に民間議員は努力しなければならない。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.05.20 11:55

銀行はガバナンスを強化しろ

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2003年の5月17日、今から10年前の5月17日がなんの日だったか記憶されているだろうか。実はこの時、金融担当大臣としてりそな銀行に約2兆円の資本注入を行い、そのための金融危機対応会議を開いたのが10年前の5月17日であった。その意味では金融危機の象徴である資本不足、それを解消するための資本注入から丁度10年が経過したということになる。10年前の日本の銀行業界は、その意味ではまだまだ非常にバランスシートが弱く、不良債権をたくさん抱えて、非常に不安定な状況にあった。
しかし政府が非常に明確なルールの下に資本注入を行ったことにより、市場は大きく反応した。りそなへの資本注入から約1週間後に低下を続けていた株式が上昇を始め、そしてそれが2007年7月には1万8千円にまで登っていくというきっかけになったのが、10年前の5月17日であった。当時、私は金融を担当していて3つの事を言った。一つは銀行というのは資産査定をしっかりしなくてはならない、資産査定の厳格化。二つ目は資本不足の解消で、資本が不足しているならば自らの努力で埋めるし、それが自らの努力でできないのであれば、政府が資本の注入をする。そして三つ目がガバナンスの改革で、ガバナンスの改革というのは不良債権はもちろん悪いのだが、より悪いのは不良債権を作ってしまったまずい経営、まずいガバナンスにあるわけで、これを直さなくてはならないということだ。
あれから10年を経て、資産査定はかなり良くなり、資本不足もかなり解消されたのだが、気がついてみると銀行のガバナンスは果たして良くなったのか。この不良債権を作ったような人たちが依然として銀行の高い層に居るという銀行もあるであろう。銀行のガバナンスを強化するために更にコーポレート・ガバナンスの強化、幅広い政策を行なっていく必要がある。10年前を思い起こして、そのことに対してもっと努力をすべきではないだろうか。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.05.20 11:53

駆け引きだけに終始する国会運営をやめろ

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参議院環境委員会の川口順子委員長が解任されるという前代未聞の動きが生じている。委員長が解任されるというのは歴史の中でも初めてのことだそうだ。ことの発端は川口さんが中国に出張され、陽さんという元外務大臣との話し合いが可能になったということで一日滞在を伸ばされた。
しかし、その結果委員会が開かれなくなったということで野党がこぞって川口さんを攻撃して、そして川口さんが解任されるという事態になっている。しかし、この間の手続きをよく見ていると、代理を立てて委員会を開くという方法もあったわけだし、そのようなことを自民党の議員は主張したというふうに聞いている。こういう点を考えると国益を優先して中国の要人と会う、とりわけ中国要人との面会が難しい時期に川口さんが取られた行動は明らかに国益にかなっていると思う。このような国益にかなう行動に対して野党がこぞって反対し、そして解任に至る。国会も終盤に差し掛かって、野党は与党を攻めあぐねて苦し紛れにあえて問題点を作ったという形になっている。政治の場で政治の駆け引きだけに終始するという政治に対して非常に強い批判が集まっているが今度の野党の行為は強く批判されて然るべきではないだろうか。私はあえて川口環境委員長にエールを送りたい。このような形で解任されるというのは、これは歴史に残るが、これは川口さんにとっては名誉の勲章である。いずれにしても、このような駆け引きだけに終始する国会運営を一日も早く改める必要がある。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.05.06 15:14

財政再建は確実にできる約束をし実行すべき

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日本の財政赤字が大変厳しい状況にあることは誰の目にも明らかである。そのため政府は2020年までに今の赤字を減らして、基礎的財政収支を黒字化するという目標を立てている。財政を健全化しなくてはならないという目標そのものは間違っていない。しかし現実問題として個人的には2020年に基礎的財政赤字をなくして黒字化するということは無理があると思う。
むしろ今の早い時点でシナリオを見直すこと自体が重要なのではないか。経済財政諮問会議で報告された数字によると足元の基礎的財政赤字はGDPの6.9%、つまり約7%あるということになる。これを7年で0にするということであれば、毎年GDP比1%分のプレッシャーをかけて赤字をなくしていかなければならない。これは現実には非常に難しく不可能に近い。できない大きな約束をするのではなく、確実にできる約束をしっかりとして、それを間違いなく実行していく、それこそが政府に対する信頼感を高めるものであり、むしろできるだけ早い時点で経済財政諮問会議は現実的な財政再建のシナリオ、無理のないシナリオに切り替えることを期待したい。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.05.06 15:13

社会保障と地方分権はいつから議論されるか

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4月4日に日本銀行が非常に思い切った金融緩和の方針を示し、その意味でアベノミクスの第1の矢、デフレ克服とその為の積極的な金融政策は一段落したという感がある。そうすると当然のことながら、第2の矢と第3の矢、とりわけ第3の矢の成長戦略に焦点が当たってくる。しかし一方で7月には参議院選挙が控えているので成長を促すためとは言っても非常に大胆な構造改革にはなかなか至らない。つまり国民に痛みを求めたり、一部の業界に泣いてもらわなければならないような、そういう厳しい構造改革には役所も二の足を踏む、そういう状況が今続いている。
アベノミクスは考えていることは理論的には非常に正しいということが多くの人によって既に認められている。問題はそれを如何に実行していくかという点にある。
しかし、あえて言えば、アベノミクスの中で必ずしも十分議論されていない問題があるということにも目を向けなくてはならない。その最大のものは、やはり社会保障改革である。この社会保障改革をきちっとやらない限り実は財政再建はできないという大きな宿命がある。これをどの時点でどのような形で始めて行くのか。
そしてもう一つ以外なことに議論されていないのが、実は地方分権である。地方分権のことを本気で議論すると、実は消費税は地方税にしなくてはならないのではないか、これを年金や医療のために使うべきではないのではないかという議論に至る。そういう点も踏まえ、とにかく消費税を上げるまでは、この地方分権の話を棚上げしたいというような雰囲気も見られる。成長戦略は極めて重要である。成長戦略のために思い切った構造改革を進められるかということに当面焦点があてられるが、同時に必ずしもこれまで十分に議論されてこなかった社会保障改革と地方分権、これをいつ始めるのかということについても注目をしていきたい。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.04.28 14:31

アベノミクス戦略特区は今すぐ始めるべき

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4月17日の産業競争力会議でアベノミクス戦略特区について、政府からほぼ満額回答が得られたと言える。アベノミクス戦略特区は我々が以前から主張していたことを、あえてアベノミクス戦略特区、安倍内閣だからできる特別な特区ということで、仮称としてつけているが、今までとはまるで次元の違う特区を作って、そうすることで、規制改革の突破口を開こうというものだ。
そもそも特区の考え方は2002年から始めっていて、初期は小泉内閣の下で展開した時は、それなりの政治的なモメンタムも強く一定の成果を上げた。しかし最近は政治的なモメンタムも低下して特区もたくさんあるのだが、十分な成果を上げていない。今回、そこで大きな提案として2つのことを述べた。1つはこれは総理主導でやるということ、国の国家戦略としての特区を作るということで、例えば国の意志として国際拠点としての東京を充実するだとか、そういう政治的な意図を明確に出した総理主導の特区をやる。2つ目に、そのためには実は特区の担当大臣と、その特区の担当大臣が国を代表して地方自治体の長と民間が構成する三者の統合本部がミニ独立国のような強い権限を持ってやるということである。これは実はかなり大胆な内容なわけだが、今回特区を担当する新藤大臣が満額のそれを認めるという回答をしてくれた。
今後の焦点はどこに移るか。ズバリ言うと、これは今すぐにでも始めなくてはならない。最終的には法改正が必要だと思うが、法改正を待たずに今すぐにワーキング・グループを作って始めなくてはならない。そのワーキング・グループの人選をどうするかということが、当面の最大の焦点になってくると思われる。
霞ヶ関というのはおもしろい所でこのように1つ動きがあると、これまで反対していた人たちも自分たちが主導権を取ろうと自分たちの息がかかった人をワーキング・グループに送り込もうと、競争力会議が終わった時点から次のバトルが始まっている。
これを実際に成果の出せるものにするために、やはりワーキング・グループにはしっかりとした専門家、利害関係者ではない専門家を集め始めなければならない。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.04.15 16:56

成長戦略の新しい芽として新たな特区が必要

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政策には全て哲学、その根底となるエコノミクスが必要である。例えば金融政策についてはインフレ・ターゲット、そしてデフレを克服するという明解な金融に関する哲学、エコノミクスを総理が持っていたからこそ、今、株価がこのような動きになっている。その意味で、成長戦略に関しても明確な哲学が要る。
その哲学とはいったいなんなのか。ここであえて2つ挙げたい。1つは徹底した規制改革、そしてもう1つは官が取り込んでいる産業の民間開放だと思う。ところが、第1の規制改革については岩盤のような抵抗勢力があって、なかなか上手くいかない。
そこで改めて成長戦略として考えたいのが特別な区、特区だと思う。あえてアベノミクス戦略特区と言うが、これまでの特区は2002年に始まっているがどちらかというと、地方がお願いをして、そして国が上から目線でやっても良い、やっては良くないというような特区であった。しかし、もはやその特区が上手く機能していない。そこで、今回は全く発想を変えて総理主導の特区を作り、総理主導の特区の下で特命を受けて特区担当大臣が国を代表し、そして地方の組長、そして民間が一体となった三者の統合本部を作るべきだ。そしてその統合本部というのは、さながら独立国家のような非常に強い権限を持つべきだ。独立した仕組みを維持するために、後押しするために、特区の諮問会議も作るという枠組みを今、我々は提言している。
これにより東京の国際拠点特区、輸出に特化した農業の特区、そのようなものを是非実現したい。そして、成長戦略、規制行為改革に風穴をあけたい。
もう1つの官僚の民間開放の第一の問題としてインフラの運営権を民間に売却するというコンセッションを提言したい。このコンセッション、上手くやれば数十兆円の規模になる。世界を見るとそうしたインフラの運営を世界的に行なっている企業がある。しかし日本にはない。理由は簡単で、それは日本国内で官が取り込んで民間にやらせていないからである。この官僚の民間開放も是非視野に入れて、そして成長戦略に新しい芽を吹き込みたい。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.04.09 07:08

日銀の力強い金融政策に負けない強い改革姿勢が必要

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日銀が新しい体制でスタートして、最初の政策決定会合で見事な成果を出したと思う。日銀が非常に思い切った金融緩和をするというメッセージを出して、それに対して外国為替市場も、株式市場も前向きにポジティブに反応した。
黒田日銀としては正にグッド・スタートであったと言って良い。
安倍内閣が始まって以降、この金融政策に関しては、当初、総理のリーダーシップで非常に大きな期待をつないで、そして黒田新総裁の下で少なくとも最初の金融政策の決定については上手く乗り切ったと言える。
これを受けて、いかにアベノミクスを本物にしていくかということが、特に参議院選挙まで問われる。大きな政治的な流れとしては2つ現実的にはある。
1つはこの勢いをとにかく維持するために、農協であったり、所謂圧力団体をあまり刺激しないようにして、無難な形で選挙を迎えようではないかということだ。今の様々な世論調査によると自民党は非常に選挙でも強いと予想されている。これを維持しようという考え方である。
もう1つの考え方は正に金融政策でここまで成果が出たのだが、しかし実体経済がどうなるかということが正に問われるのだから、非常に思い切った改革を、特に農業や医療といったそういう分野まで踏み込んで少々の敵を作ってでも、戦う内閣の姿勢をマーケットに見せようではないかという考え方だ。
恐らく現実の政治は第一の道を選ぶのだと思う。ここからはあまり無理をしないで無難に参議院選挙を迎えようということになるのではないかと思うが、しかし参議院選挙までは三ヶ月もある。その観点からすると、この金融政策の非常に力強いメッセージを利用してそれに乗っかる形で非常に強い改革姿勢を示す、そして強い野心的な成長戦略を作る、それこそがアベノミクスが真の意味で成功する道であると思う。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.04.07 21:23

グローバル化に際しJETROという名前が聞かれてもいいはず

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シンガポールで大変若い、しかし活気のある実業家に会った。個人的な名前は避けるが、彼は日本人で、かつてシンガポールの政府の機関で働いていたことがある人だ。この人はシンガポールの機関をやめて、一つのベンチャーを立ち上げているわけだが、そのベンチャーというのは日本の中小企業がシンガポールやASEANに進出する時に、まずリサーチのために一人送り込まなくてはならないが、その為の小さなレンタルスペースを貸し、そしてそこでさらにはインキュベーター機能を果たして、コンサルティングのような仕事をしていく、という会社だそうだ。既に100社との契約を結んでいて、一度シンガポールに進出した後、さらにそこからインドやタイ、インドネシアに進出するという企業も出てきているようだ。
実は気がついてみると、こうした仕事はまさにJETROが行うべき仕事であったはずだ。しかしどうも現地の人の話を聞いてみるとJETROというのは最初のミーティングの場まではやるが、実際に細かい法律の問題をクリアして、中小企業の事業が立ち上がるまでの面倒をみる十分な人材が整っていないという批判を現地では聞く。その意味ではニッチな、そういう隙間をぬって、こういう新しい実業家が現れてきている、そのこと自体は大変歓迎すべきだ。一方で多額の予算を使っている政府機関であるJETROのような機関が本来、日本のグローバル化にもう少し積極的な役割を果たしてもっともっと名前が出てきて良い、そういう時期なのではないか。日本がアジアの活力を生かして、経済成長を進めるか大きな議題になっている時に、この新しいベンチャーの存在と、十分に活力を発揮していない日本の政府機関とのコントラストが大変印象的であった。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.03.26 08:29

キプロスは銀行同盟を作るための1つのプロセス

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つい先日までIMFの筆頭副専務理事を務めていたリプスキーさんと議論をする機会があった。コロンビア大学のコンファレンスのために来日されたのだが、彼、リプスキーさんは今のヨーロッパの状況について、非常に明快な説明をされた。これはダボス会議でも議論されたことだが、実はヨーロッパの27カ国、EUの27カ国のうちの17カ国がユーロに入っていて、このユーロの構造的な問題点はわかっていたが、今回こういう事態に立ち至って、これを克服するために銀行同盟を作るべく、今ヨーロッパは大変大きな努力をしている。
キプロスの話が大変話題になっているが、銀行同盟というのは各国がお金を出しあって日本の預金保険機構のようなお金を貯める機関を作って、もしも銀行に何かあった場合は、そこから公的資金を注入するという仕組みを作っていこうというものだ。実はキプロスの話は今から組織を作るわけにはいかないから、とりあえず今預金を持っている人は、その一部を放棄して預金を出してくださいという文脈の中で今の問題が出てきているわけだ。キプロスが政治的にもめていること自身は大きく報じられているが、これが実は銀行同盟を作るための1つのプロセスの議論として出てきたのだという理解をしなければならない。
いずれにしても銀行同盟を作るということは去年の秋に決まった。今年はそれを実現するためにどのような進展が見られるか、そうした点にヨーロッパの経済の運命がかかっている。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.03.23 22:10

公的支援の基本方針は明快で公正でなくてはならない

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3月末、年度末が近づいてきている。この年度末にはモラトリアム法案が期限切れになると言うことで、これまで塩漬けにされていた不良債権が一気に健全化するという点がある。中小企業の倒産などを防ぐためにも、つまり支え棒を外す瞬間になんらかの代替処置が必要ということは当然のことながら意識されている。しかしモラトリアム法に代わって新たな公的支援をなんらか行うということになるならば、それはまた新たなモラルハザードを起こす可能性がある。その意味でもこの際、月末までに公的支援に関する共通のルールを作るべきだと私は思う。最終的には各省庁が色んな政策をとるわけだが、各省庁が好き勝手なことをするのではなく、内閣で横断的に基本方針、公的支援の場合の基本方針を明確にするというのは政策上、極めて重要なことではないだろうか。一方、与党でもこれは公正取引委員会の役割を強化するか、ないしは独禁法の観点から公正な競争を確保し、そしてモラルハザードが起こるような過剰な政府介入を防ぐという立法の動きがあるというふうに聞いている。
こうした点も踏まえれば、やはり内閣として、この際この公的支援に関する基本的なルールを是非作って貰いたい。一部には何がなんでもこの際に官民ファンドを作って、やけぶとりするというような省庁の意図も見え隠れしている。それを内閣全体として明快、そして公正な、誰もが納得する公的支援の基本方針を作らなければならない。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.03.11 17:32

規制を緩和して競争と参入を促せ

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今後伸びる産業はなんだろうか、そういう意見をよく聞く。しかし、この伸びる産業はどこかということを言い当てるのは決して容易ではない。この産業を伸ばすために政府がなんらかの措置を講じる、そういった古い形での産業政策、古い形でのターゲッティングというのは控えていかなければならない。それにしても言えることが幾つかある。それは今、非常に強い規制のかけられている産業は今後規制を解き放つことによってかなり成長する可能性があるということではないか。
考えてみると、そのように規制が強いが今後伸びるのではないかと多くの人が感じているわかりやすい産業がいくつかあるということだ。その一つは農業なのではないか。日本の農産品は美味しいが、その農業に関して企業の、株式会社の参入が10数年前にようやく認められたとは言え、その後遅々として進んでいない。こういう所を実は規制緩和をすることによって、この産業が非常に大きく伸びていく可能性はあるのではないかと思う。
実はその意味では更に重要な問題として、医療の分野があると思われる。今後人口が高齢化する中で、ますます医療へのニーズは高まるであろう。しかし、一部で医師の不足、医者不足が唱えられている。これは所謂、医療産業に対する労働供給が制限されているということを意味するわけだが、医学部の新設が大臣告示によって、根拠の不明な大臣告示によって長年抑えられているというのも不思議な話ではないだろうか。どんどん競争して淘汰をしてもらう。しかし参入の壁を低くして参入を増やす、特に労働供給を増やして行く一つとして例えば医学部の新設を認めるなどということも含めた前向きな議論が必要なように思う。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.03.04 17:23

財政再建のためには中長期的には財政削減が必要

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経済財政諮問会議が開かれて、その場で直近の日本の財政の赤字、基礎的財政赤字がGDP比約7%に達しているということが明らかになった。これは予想以上に大きな数字と言わなければならない。2001年頃、当時も大変大きな財政赤字を抱えていたのだが当時の財政赤字はGDP比で、それでも5%台であった。それが今や、7%近くになろうとしている。しかも2020年に基礎的財政収支を黒字化するということであるならば、毎年約GDP比1%の財政赤字の削減をしていかなければいけない。つまりGDP成長に1%マイナスのプレッシャーをかけなければならざるを得なくなるということを意味している。
これは実は今後の日本の財政再建シナリオをどうするか、どう作るかという点に対して非常に大きな影響を与えるのではないかと思われる。今のところ政府は公式には2020年に基礎的財政赤字を黒字化し、そして中間地点の2015年にはそれを半減すると言っているが現実問題として、それは大変難しくなったと言わざるを得ないのではないか。そういうことに対して問題なのは、それがかなり難しくなったということの発言、ないしはその説明が政府からは十分なされていないということではないか。
当面、景気を良くするために財政を拡大する。これは止む負えない手段ではあるが、やはり中長期的には財政削減をしなくてはならない。アベノミクスの2本目の矢、機動的な財政政策にはそういう意味が込められているわけで、今後日本の財政再建を本気で、どのように、どのようなシナリオで実現していくのか、いよいよアベノミクスの正念場を迎える時かもしれない。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.02.24 12:04

成長戦略で雇用制度設計を柔軟にしなくてはならない

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産業競争力会議などを中心にアベノミクスの中での成長戦略がどのようになるのか大変注目を集めている。金融政策、財政政策は重要だがそれらを超えて更に長期的な経済発展のためには、やはり成長戦略が不可欠である。そういう中で、規制改革こそが成長の一丁目一番地だということを述べ、安倍総理も一丁目一番地という使ってくれたわけだが、その規制改革の中で更に重要な規制改革はなんなのだろうか、そういう点に次第に議論が集まっていくのではないか。
規制改革はかなり幅広くやらなくてはならない。しかし、あえてその中の更に中心的な一丁目一番地の中の一丁目一番地として、雇用に関する労働市場に関する規制改革が重要であるということを述べたい。
民主党を中心とする政権の最初に社民党が入っていた。この社民党の影響を非常に強く受ける形で過去何年間かの雇用政策、労働市場政策というのは正社員を増やす、正社員こそが良い働き方であって、そういった種類の労働を増やすということにどうしても重きがあった。しかし、日本の正社員というのは世界の中で見ると非常に恵まれたというか、強く強く保護されていて容易に解雇ができず、結果的にそうなると企業は正社員をたくさん抱えるということが非常に大きな財務リスクを背負ってしまうので、常勤ではない非正規タイプの雇用を増やしてしまった。
本来どのような働き方をしたいかというのは個人の自由なはずで、多様な働き方を認めた上で、それでも同一労働同一条件、つまり正規も非正規も関係なく全員が雇用保険、そして年金に入れるという制度に修練して行かなければならない。
今回の成長戦略の中で規制改革に関する制度設計、雇用をより柔軟にするための規制改革がどのように行われるか、そこに非常に大きな焦点が当たると思われる。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.02.19 16:42

今後の政局で見るべき2つの点

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今後の政局について、見るべき点が2つあるということを是非申し上げたい。
1つは与党と野党の論戦、攻防である。恐らく今後野党はマスコミとも絡むが安倍内閣の予算がばら撒きであるという批判をかなり強めてくるのではないかと思う。機動的な財政政策、短期的に財政を拡大する、しかも補正予算でかなり短期にこの補正予算を作っているので、ばら撒きだと批判しやすいような内容は確かに含まれている。
しかし、それをどのようにマスコミが取り上げて、国民が判断するのか、それで支持率がどう変わるのか、このばら撒き批判を巡る問題が1つの焦点になる。
もう1つは実は日銀総裁人事なのだが、これは日銀総裁として誰を指名するということよりも、むしろ参議院で、どこかの野党と自公は組まなければならないわけだから、どの野党と組むのかという点が今後の政策、政局に非常に大きな影響を与えてくるという点だ。例えば民主党と組むのか、みんな維新連合と組むのだろうか。衆議院でこの補正予算を議論するにあたっては、実は維新が賛成し、他の党は反対したという色分けになっている。
野党の組み合わせも容易に一律には決まらないという状況の中で自民党はどの野党と組むのか、野党は野党でどのように組んで与党に仕掛けるのか、与党は如何にして野党を分断しようとするのか、実は日銀総裁人事の国会同意人事で自民党が参議院でどのような党と結びつくのかという点は極めて大きな意味を持ってくる。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.02.09 20:48

安倍内閣は小渕内閣型ではなく小泉内閣型になれるか

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安倍政権が発足してから株価が上昇し、円も適正な水準に向けて下がりつつある。その意味では期待が非常に高まっている。現実問題として、日本経済が非常にジリジリと後退を続けてきた中で、安倍政権に頑張ってもらわないと、もしこの政権が万が一こけるようなことがあったら、日本経済の将来は正に暗くなるという見方が広まっているように思う。そういう意味で、応援の意味を込めて、1点注目すべき点を述べたい。
それはこの安倍内閣がかつての小渕内閣型になるのか、小泉内閣型になるのか、ということであろう。
小渕内閣が発足した時も最初の出だしは大変好調であった。次から次へと財政拡大等の政策を打って、そして中小企業に対する信用保証の政策を拡充して、危機を乗り越えて、株が上がり始めて、経済は非常に良いスタートを切ったように見えた。当時、経済戦略会議が作られて、そこでこの最初のロケットスタートの強さを更なる改革、構造改革、体質改善に結びつけて行くための政策が示されてはいたのだが、なかなかその構造改革に手がつかないままに小渕首相が病に倒れるということになった。
これに対して小泉内閣の時は最初から構造改革を全面に押し出して、そして構造改革を進めることによって結果的には戦後最長の景気拡大を実現するということができた。
今、安倍内閣は積極的な金融政策と財政政策でロケットスタートをきっている。しかし、これが本当の構造改革、企業の体制強化に結びつくか今のところよくわからないということだと思う。
繰り返すが、安倍内閣に頑張ってもらわなくてはならない。その意味で期待を込めて、小渕内閣型ではなく、小泉内閣型になるような、そういう政策運営を是非期待したい。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.02.04 12:17

今年のダボス会議で見られた非常に大きな3つの特徴

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ダボス会議が開かれた。今年のダボス会議は去年に比べてやはり大きな変化、特徴があったように思う。3つ挙げたいと思う。
日本に関わりの深いことばかりなのだが、第一は全体の雰囲気として去年に比べてやはり非常に経済への見方が明るかったということではないだろうか。昨年はまさにユーロ危機のど真ん中で一体どこまで経済が下がるのだろうと非常に大きなリスクを抱えていて、Cautious(コーシャス)十分に注意しなければならないという表現を使っていた。しかし今年はCautious Optimism(コーシャス・オプティミズム)注意は必要だけれども比較的楽観的だという雰囲気があふれていた。これは昨年の8月にECBが非常に大きな態度の変化を示して、スペインなどの国債を無制限で買い続けると、最後のお金の出し手としての引受け手を担うということを明確にし、更にその翌月の9月にアメリカのFEDがQE3、量的緩和の第三弾を行ったということが効いていると思われる。いずれにしても全体の雰囲気としては今年は少し一段落しているというのが、第一の点である。
第二の点だが、実は日本に対する評価が極めて高かった、日本の存在感が極めて大きくなったと言えると思う。アベノミクスという言葉が独立してかなり多くの論者に使われていたというのも大変特徴的であった。日本の報道ではアベノミクスの弊害、円が安くなりすぎることへの弊害を各国が懸念しているという表現を使った所が少なくなかったが、全体の雰囲気としては、あの日本がようやく動き出した、全体としてアベノミクスを指示する、ちゃんとやってくれという雰囲気が極めて強かったということが、第二の特徴である。
そして、第三点、実はこれは私にとっても意外だったのだが、日中のトラブル、領土問題というのを世界がかなり懸念して心配しているということだ。我々にとっては領土問題はもちろん重要ではあるが、世界を揺るがすような問題ではないというような認識があると思う。しかし世界から見ると日中がこの問題で非常に大きく揉めて、それが両国の経済を停滞させて負の影響を与えるということを大変気にしている。この点は我々が改めて領土問題、日中関係を見直さなければならない、非常に重要な示唆なのではないだろうか。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.01.26 10:41

成長戦略の基本は1にも2にも競争政策

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日本の競争力を高めるためには様々な事をしなくてはならない。よく六重苦という言葉が使われ、為替レートが高すぎる、法人税が高すぎる、労働の規制がある、環境の規制、エネルギーのコストが高い、といった色んな重荷が重なっており、重荷を取り除くことは極めて重要だが、成長戦略、競争戦略の基本は1にも2にも競争政策にあり、そして規制改革にある。
持続的に企業、産業が成長していくためには、やはりできるだけ多くの自由を政府が与える、つまり規制改革を行なって企業に自由な形で創意工夫をしてもらい、そして強くなっていく、そしてそれがイノベーションにつながっていくというのが必要不可欠であり、1丁目1番地である。そういう観点から言うと、実は世界銀行の競争環境ランキングというものがあり、規制環境のランクングであるが、規制環境のランキングで見ると日本は2000年に世界で40位であったが、コイズミ改革で改革を進めて2006年には28位まで高まった。しかし近年は改めて47位まで下がっているという非常に悲観的な数字が出ている。
これについてしっかりとした目標を定め、例えば5年間で20位以内にするだとか、そういう骨太の目標を作り、そのためにはどうしたら良いか、そういう逆算をした戦略が必要なのではないか。単にこの産業にお金を付ける、この産業を育てるといった産業政策の手法ではなく具体的に競争環境を高め、規制改革をする、そうした規制改革に関する骨太の目標を作るということが基本になるのではないか。そうした中で、例えば1つの骨太の目標としていうならば、東京を世界で1位の都市にする。そのためには羽田空港の国際線のキャパシティを2倍にし、例えばだが、羽田と東京駅が新幹線で結ばれるというようになれば、日本経済の景色が変わってくる。この景色を変えるような思い切った政策が成長戦略で取れるか、それがアベノミクスの成否を決めることになる。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.01.19 19:33

日銀人事で考慮されるべき3つのクライテリア

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日銀総裁、副総裁の人事を巡って大変マスコミが熱くなっているように思う。それぞれ3月、4月に任期が来るということでこれは国会導引人事であるが、やはり大変重要なメッセージ性を持った人事であるということは間違いない。しかし、人事で誰がどういうポストにつくという以前に2つのことを明確にしなくてはいけない。それは日銀がどのような役割をはたすかという正に今議論されている政府と日銀のアコード、日銀の枠組みの問題である。これは例えば極端な話、十分なアコードを結んでそして物価目標を明確にしてということになるのであれば、実はちょっと極端な言い方ではあるが、どなたがその任に就任しても、目標を達成することが出来なければ責任を取らなくてはならないという意味において、実は皆さんそれなりの役割を果たすであろうというふうに考えられるからである。従ってその物価目標をどのように決めて枠組みをどのように決めるか、これが実は人事以上に重要な問題であるというふうに言える。その次に人事がそれでも重要であるというふうになった場合に、実は誰がというよりはどういう要件を満たした人がその職に付くべきかという、要件、つまりクライテリアをしっかり議論するべきである。世界の常識から言って、3つのクライテリアを満たした人がこの職について欲しい。第一は金融の専門家でなければならないということで、具体的にPhDを持っていて専門的な議論が出来る人が求められる。第二にはこれは国際的な舞台での活躍が必要になるから、やはり英語できちっとした議論が出来る人。そして第三としては、組織で対応しなければならないので組織の運営の経験がある方という、3つのクライテリアが満たされるべきではないか。人事で大変熱くなるのもわかるが、それ以前にどのような日銀の役割を求められるか、枠組み作り、更にはどういう要件を満たした人をその任につけるか、という評価のクライテリア、それをこそしっかりと議論すべきである。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.01.14 13:32

日本は国家資本主義を意識しながら健全な市場経済を築くべき

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皆さんはイアン・ブレマーという若い政治経済学者をご存知だろうか。スタンフォード大学のフーバー研究施設の研究員をしておられて、いくつもの有名な本を書いている。その後、自分でコンサルティング会社を作って非常に幅広い研究をしているイアン・ブレマーだが、彼が「自由市場の終焉」という大変面白い本を数年前に出している。その日本語のサブタイトルが「国家資本主義の話」ということになっていて、実は国家資本主義、中国やロシア、所謂市場経済とは違う、政府が全面的に乗り出した新しいタイプの市場での競争がアメリカに対する新たな脅威になっているという指摘をしている。これは新しい重商主義であり、もしくは新しい冷戦構造の始まりだというような、なかなか鋭い指摘もしている。
当然日本はアメリカと同盟国であって、この国家資本主義と対決をしなければならないわけだが、実は今後議論されるかもしれない日本の産業政策のあり方に関しては、やはり注意をしていかないと、この国家資本主義的な色彩を帯びてくる可能性がないわけではない。国営企業があり、そして非常に強大な政府のファンドがあり、そのような経済は国家資本主義であるとイアン・ブレマーは述べているわけだが、日本はアメリカと協力をして中国等々の国家資本主義と対決して行かなければならないわけだから、日本の経済の再生、成長力強化にあたっては、こういった国家資本主義を意識しながら、やはり自由な指示を活用するという方向で、しっかりとした健全な市場経済、その中でしっかりとした強い日本経済と作って行かなければならない。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.01.05 14:53

安倍内閣には成熟した外交姿勢が問われている

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安倍内閣の政策が色々注目されるが、その中の1つにやはり外交問題がある。それに関連して海外の識者は日本の外交姿勢について、いくつかの警告を発しているという点に注目をしなければならない。ソフト・パワー、スマート・パワー等々で有名な、ハーバード大学の前のケネディースクールの学長、ジョセフ・ナイ教授は少し前の論文の中で、日本のナショナリズムが高まっているという点が非常に気になるという指摘をしている。これは実はその中でナイ教授が指摘している最大の問題は日本の経済が弱くなっていて、弱くなっているからこそ、実は1つの領土問題などに対して非常に過剰な反応をしていてそれが日本のナショナリズムにつながっているというのである。これまで、戦後の平和プロセスを構築してきた村山談話などいくつかの蓄積があるが、日本はやはりそういうものをぶち壊してしまってはいけないのではないだろうか。短期的な近視眼的なナショナリズムに走ることなく日本がアジア太平洋の平和に果たさなければならない重要な役割、しかも歴史を踏まえた役割を十分に認識して、その上で成熟した外交を行なっていく必要があるのではないかと思う。とりわけ中国では習近平体制が始動する、習近平氏は中国の歴史上初めて太子党から生まれた政権で今後政策決定プロセスが非常に不透明になるということも懸念される。日本は安易なナショナリズムに走ることなく日本が果たさなければならない役割に今こそ目覚めねばならない。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2013.01.01 09:04

2013年 世界経済のポイント

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新年明けましておめでとうございます。2013年どういう年になるか、はっきり言って、非常にポジティブにもネガティブにも大きく経済が動く可能性がある1年になると思う。まず国内経済に関して言うならば安倍内閣が一体どういう経済政策をやっていくのであろうか。新内閣は顔ぶれを見る限り古い自民党と新しい自民党が見事に混在している。実際に安倍総理がこのどちらに軸足をおいて経済運営するかによって、その効果がポジティブになるかネガティブになるか非常に大きく別れてくる可能性がある。総じて言えば、2,3年前の世界の経済は約5%成長していた。それが今、3%程度の成長に低下をしている。言うまでもなくこれはヨーロッパの経済が低下したからだが、その中でやや2012年に比べたら2013年は良くなるであろうと多くの国際機関は予測をしているわけだが、実は多くの予測の中で日本の経済成長率は下がるのではないかという見方が強くなっている。これは循環的な要因にもよるが、ここのところ政策がずっと停滞していて、それに対して安倍内閣が金融緩和を中心に非常に力強い金融政策を訴えているというとこで、市場が好感をし始めているが、その成果はまだよくわかっていない。金融緩和のみならず財政の再建と構造改革を一緒にやって行かなければならず、それが3本の矢になるわけだが、金融緩和については明らかな方向性が見えている中、財政は健全化するのではなくて、むしろばら撒くのではないか構造改革は官僚主導で止まるのではないか、そういう懸念の中で経済政策がどう動くかしっかりと見ていきたい。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2012.12.24 12:14

日銀は物価目標を掲げるに至った説明責任を果たすべき

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日本銀行の金融政策が大変注目を集めている。きっかけは言うまでもなく次の総裁になる安倍さんが日銀に対して金融緩和を非常に強く求めて、かつ具体的な2%のインフレ目標を求めたということに端を発する。先般の日銀の金融政策決定会合ではかなり大幅な金融緩和を行うというアナウンスをした上で、来月の金融政策決定会合では物価目標についても検討するということを言った。この点に関しては、私は日銀に明確な説明責任を果たして欲しいと思う。10年前に私自身が政策決定会合で物価目標を求めたことがあった。また経済財政諮問会議で当時の日銀総裁の福井さんが量的緩和をやめた後に関しては物価目標、インフレ目標は検討に値するという発言をしておられる。しかし、それにも関わらず、この10年間、日銀は何もその点に関して意見を言わなかった。それに対して、今回安倍総理の発言に端を発して、急にそれを検討するということになったわけだから、どうして10年間何もしなかったのか、今回どうして検討することになったのか、そして物価目標を掲げるのであるならば、なぜ考えを変えたのか、この点に関して明確な説明をする責任が日銀にはあるのではないかと思う。
金融政策だけに焦点が当たってはもちろんいけないわけで、政府は政府で構造改革をしっかりと進めなくてはならない。その意見では日銀が物価目標を掲げるだけではなく、その物価目標を実現するために政府がその責任を果たし、日銀がその責任を果たす、本来であればやはりアコード、政府にも日銀にも責任があるという形の合意にして行かなければならない。日銀の説明責任をきっちり果たしていただくと同時に、政府にもしっかりとした責任を果たしてもらう、そうした期待が生まれて初めて物価目標というのが意味を持ってくるのだと思う。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2012.12.17 11:17

自民党安倍政権はどのような内閣になるか

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選挙が進み自民党優勢が伝えられる中でいよいよ選挙後は自民党を中心としたどのような政権が作られるのかという所に関心が移る。自民党はこれまで何度も政権を作ってきたわけだから、そのことに対して抜け目なく、そつなくそれなりの政権運営ができるのではないかという期待が国民の間にはあると思う。しかし、今回自民党が政権に返り咲いて一体どのような政策をとるかということについては意外と不透明な点が多いということの注意を喚起したい。それは自民党の阿部総裁を支えるグループが非常に幅広い人達によって構成されているという所に起因をする。安倍さんを支える人達の中には例えばかつて官房長官を務めた塩崎恭久さんらのように非常に改革心に富んで国際的に視野の広い人たちが沢山居る。しかし同時に長老はかなり引退したとは言っても、長老の方々で残っている方々、そして非常に古い自民党を引きずっている人たちも安倍さんの周りには沢山居るという風に言われている。要は、安倍内閣はそのどちらに軸足を置いた内閣になるのか、これが今後の日本の経済政策、ひいては日本経済がどちらの方向に行くのかということを決める全ての要因になる。この組閣、人事というのは非常にメッセージ性があるわけで、期待を変化させるわけで、政策というのは行なっても、なかなか効果がでるまでに時間が半年1年かかるわけだが、人事のメッセージ性だけは即マーケットに伝わって、そして、人々の期待に働きをかける。その意味では小泉内閣、小泉さんという方は大変人事が上手かったわけだが、それ以降人事について上手だと言われるような内閣は出ていない。安倍さんが一体どのような内閣を作るのか、塩崎さんに軸足を置いたような内閣になるのか、それともかつて総理を務めた方々や、大物と言われる政治家に軸足を置いた内閣になるのか、そこで今後の支持率が保たれるか急速に下がるか非常に大きな分かれ目に即なってくると思われる。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2012.12.10 07:43

経済財政政策における司令塔の必要性

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選挙が始まった。12の政党が選挙の結果を競う。当然のことながら、政策がどうかというのが気になる。今回マニフェストに対する信頼が根本的に揺らいでいるので、マニフェストを中々真面目に見る気がしないというのが多くの人の率直な意見ではないか。その中で原発問題やTPPの問題など様々な議論がなされているが、私は各政党に共通する問題として1つの重要な視点が欠けているのではないかということを指摘したい。
それは責任のある政治決断を行うという趣旨のことをみなさんおっしゃるのだが、それをどのような仕組みで行うのかという政治主導の具体的な仕組みの話しがほとんどないということである。経済財政諮問会議を2001年に作り、小泉内閣は少なくとも経済財政諮問会議を経済財政政策の司令塔としてそれなりの役割を果たした。それに対し民主党は国家戦略局を作ると言いながら、実際はそれができずに司令塔がないままに大混乱の経済政策をとってしまった。このような認識は共通してるのではないだろうか。しかし自民党の選挙公約の中にも経済財政諮問会議を復活させるといった記述や、それに変わる司令塔を作るといった記述はほとんどない。日本の経済の再生本部を作ろうという議論がされているが、本部というものは非常に役人主導になる可能性が高い。総理の直轄で、総理の基で少数の人間が強いリーダーシップを発揮し政策を決めていく経済財政諮問会議のような仕組みが必要不可欠であると考える。しかしながら、多くの政党で司令塔に対する思いがない。結局のところ、このまま進むとまた官僚主導になって政治主導が果たされない可能性がある。選挙のあとどの政党が政局を担おうとも必ず取り組まねばならない重要な課題である。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2012.12.04 12:48

金融政策は日銀だけでなく政府も問われている

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自民党の安倍総裁が金融緩和に非常に踏み込んだ積極的な発言をして話題になっている。それに対しては与野党からも反発があり、経済界からも少し言いすぎだという反発が出ている。しかし市場は着実に反応していて株は上がり、そして円は下がっているとそういうメカニズムが働いていることも事実である。大変重要な点があるのだが、批判が大きく2つに別れるということだ。1つはそのような金融緩和をやっても無駄だという意見、そしてもう1つはそんな大胆な金融緩和をするとそれは無謀であって、大変なインフレになるという意見で、冷静になるとわかることだが、こういった批判は相矛盾をしている。もし効果があるんであるならば、例えばインフレになって困るということであれば議論としては成り立つわけだが、そうすると効果がないという意見を打ち消すことになる。一般的にそうなのだが、新しいことをやろうとすると必ず両方からの批判がでる。小泉内閣で議論した時も、そんな規制緩和では足りないという議論とそんな規制緩和をしては産業がガタガタになってしまうという意見と両方から攻められたのだが、経験から言って両方からの反対意見がある時は、この政策は結構正しいというアイロニーも成り立つのではないだろうか。いずれにしも今までの日本銀行の政策が極めて不十分であったということは事実で、それに対して安倍総裁が異を唱えているという所は理解できるのではないか。問題はしかし政府の側で金融政策にだけ頼ってはいけないわけで、今度の自民党の公約の中から金融政策は沢山でてるのだが、以前安倍内閣が掲げていた構造改革という言葉がほとんど見えてこない。この点についての問題は極めて大きいのではないかというのをもちろん日銀は問われるがそれ以上に政府も問われている、それが今の財政金融政策を巡る現状なのではないだろうか。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2012.12.02 09:57

石原慎太郎殿へ

石原慎太郎殿  
自由報道協会で石原さんが、「維新の最低賃金廃止は竹中の案」という趣旨の発言をされたと報道されています。本当でしょうか。そうであるなら、事実と異なります。
私はリアリストですので、これまで最低賃金廃止を主張したことも、考えこともありません。記憶するかぎり、維新の方々とこの問題について議論したこともありません。また、政策案をまるで私が書いたように言われていますが、それも全く事実に反します。公党の政策は、政調会で吟味されるものでしょう。部外者の私が書くということなどありえません。事実関係は、橋下さんに聞いていただければ分かるのではないでしょうか。
公党の党首として、しかもご自身の党の政策の話については、是非事実に基づく発言をお願いします。
竹中平蔵

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竹中 平蔵 さんのトピック :2012.11.25 11:13

デフレを克服するための選挙にすべき

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自民党の安倍総裁が金融政策に対して非常に積極的な発言をして賛否両論、大変注目を集めている。安倍さんの主張は極めて明白である。デフレを克服することが重要であって、その中で日本銀行の役割は極めて重要である。2006年3月、実はこの時、需給ギャップが0でもうすぐデフレが克服できるというその瞬間に日本銀行は量的緩和、金融緩和をやめてしまった。その責任が極めて大きいということをはっきりさせるために安倍さんはあえて大胆に、どのような形で金融緩和をするか、国債を買うかどうか、引き受けるかどうかということも含めて発言をしているのだと思われる。その技術的な問題にあまり細かなコメントをすることは意味が無いと思うが、その意味でも安倍総裁の発言を極めて前向きに受け止めているし、日銀総裁は「国債の直接引き受け良くない」という非常に教科書的なコメントをしたが、ならば日銀はどのようにデフレを克服しようと思っているのかという対応策は一言も述べていない。これがある意味でこれまでの日本銀行の対応を象徴しているわけだ。今回、ともあれ、安倍さんの積極的な発言で日本銀行の金融政策が選挙の非常に大きな争点になってきたということは好ましいことだと思うし、大いに議論をして、兎に角デフレを克服する、そのための選挙にしたいと思う。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2012.11.18 10:30

野田総理が政治家として優れていた2つの点

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いよいよ総選挙が行われる事になった。党首討論で野田総理が急に解散するということを明確にして「近いうち」と言っていたのに嘘つきであるというのに対する反論の形で解散総選挙が決まった。野田さんという方は政局の回し方としては大変優れた力を持った政治家である。恐らく、前の2人の総理大臣の悪い事例から、そして更には小泉元総理の良い経験からいくつかのことを学んだのだと思うが振り返ると野田総理という方は2つのことを政治姿勢としては貫いた。
1つは総理自信が必ずやりたい政策を明確にする。それが増税というあまり内容の良くない政策であったわけだが、1つの政策にしがみつくということを示した。そして自分の内閣は自分でけじめをつけるという意味で、劇的なドラマチックな形で解散総選挙に打って出た。この点は小泉元総理から学んだ点ではないかと思われる。
しかし、だからと言って、選挙に対して非常に大きなプラスの影響を与えるかというとやはりそれは厳しいのではないか。この3年の間に民主党内閣が行った政策がやはり日本の経済を悪くして今日の閉塞感を生み出した。その点に対しては厳しい評価がくだされる可能性が高いわけだが、それにしてもここまで動かない政治をようやく動くような形に持っていったということで、この解散総選挙については多くの新聞も歓迎しているということではないだろうか。
問題はそれに対して国民がどのように反応するか、しっかりとした選択をしなくてはならないと国民が問われる番になった。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2012.11.13 14:13

オバマ大統領の再選を識者はこう見ている

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アメリカの大統領選挙が行われた。その様子をNYでテレビ等々で見ていたのだが、結果的にはご承知のように予想よりは比較的差がつく形で、オバマ大統領の再選が決まった。これに対して私の回りの識者の意見を総合すると次の様なものになる。まず最大の印象として言えるのはオバマさんという人は大変運の強い人だということだ。前回の、2008年の選挙の時もオバマさんは決して優勢ではなかった。しかし、その時にリーマン・ショックが起こって、そのリーマン・ショックに対する政府の対応の批判からオバマさんが結果的に選ばれた。今回もオバマさんに対する評判は決して良くなかったのだが、ハリケーン・サンディーがやってきて、それに対して極めて周到な準備をしたことが、オバマさんを助けたと言える。その意味で、ハリケーンであったり、リーマン・ショックといったものに助けられて大統領になった、とても運の強い人であるというのが1つの見方になっている。もう1つ、これは大変興味深いことなのだが、例えば南部の州というのは共和党が大変強いと言われていて、今回も南部ではロムニーが勝っているわけだが、その南部のテキサスを中心とする州でも、やがてこの地区は接戦の地区になると予想されていて、その最大の理由は移民でヒスパニック系の人が南部の地域でどんどん増えてきていて、そういう人たちが民主党の大きな政府、政府の庇護を求める政策に走っていくという批判がある。今回オバマ大統領は就任の時よりも失業率を悪くしたのだが、悪くしたのにも関わらず再選する大統領は史上二人目だと言われている。その意味でもオバマ大統領は決して積極的に評価されたわけではない中で、TPPを中心に如何に輸出を増やして雇用を増やし、その約束をどのように守れるかが問われるし、その意味でも日本はTPPに対して本腰を入れる政権が出てくる必要がある。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2012.11.05 15:12

デフレを助長するような政策しか取れない政府と日銀

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景気の先行きに明らかな陰りが見え始めた。象徴的なのは労働市場において有効求人倍率が低下を示したということに表れているが、その他にも企業収益が軒並み下方修正していて、赤字を出す企業も増えているという、これらの点にこそ、まさに今の危機が表れている。しかし、それに対する政府の対応はあまりに遅く弱いものになっている。そもそも本予算特例公債法が通らないいう状況の中で、更なる国債発行ができないというねじれた政治の結果として、結果的には予備費を使った申し訳程度の経済対策しか政府にはできないということが明らかになることにより先行きに対する不安はますます広がりそれが実体経済を更に悪くするという悪循環に陥っている。結局日銀は金融緩和を決めても特例公債法が通っていないからという理由で本予算の執行を先送りしている。つまりデフレを助長するような政策を今の政府がとっているわけで、そういう状況の中でデフレに対する解消の期待は生まれず、更に経済実態が悪くなっているというが実情である。加えて、やはりこれはヨーロッパもアメリカも、そして中国に代表される新興国も実態が悪くなっている。その世界の実態に引きずられる形で、とりわけ政策の粗末な日本経済において経済の先行きが更に暗くなっているということが懸念される。一刻も早く政治を正常化し、信頼出来る政府を作った上でしっかりとした経済対策を打っていかなくてはならない。そのような状況に日本の経済は追い込まれている。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2012.10.29 08:11

石原慎太郎知事の国政進出

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石原慎太郎都知事が突然に辞任を表明して、新しい政党を作って国政に進出するというニュースが駆け巡った。多くの人はショックを受けたというか、驚いたと思うが、冷静に考えてみると石原さんは以前から新党を作る作ると言っていたが、息子さんの石原伸晃さんが自民党の総裁になる可能性があったのでそれを封印していたというのが現実である。しかし、自民党で石原伸晃さんが敗れたとなると、石原慎太郎さんがこういう行動をおこすというのはある程度予想された事と言えなくもない。さて、石原慎太郎さんは大阪維新の会に対して周波を送っているわけだが、個人的にはこれはやはり政策が一致しなくては実際に協力するというのは政策の大義が立たないのではないかと思われる。具体的に言うと、石原慎太郎さんはたちあがれ日本の人たちと協力しようとしているが、たちあがれ日本の人たちはほとんどが実は郵政民営化に反対していた人たちばかりで、こういう人たちと改革を進める維新の会の政策というのは、やはり体質的にどうしても合わないものがある。それをどのように乗り越えていくか、政策を協議して本当に一致することができるのか、そうであるならば協力はもちろんできるわけだが、現実にはそれはなかなか難しいと考える。いずれにせよ、今後の都知事選がどうなるか、この都知事選を巡って、誰が立候補して、その時にどの政党が誰を推すのか、それが実は衆議院選挙の大変重要な試金石になるというように思われる。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2012.10.22 08:48

民主党の利害を考えた上での総選挙先送り

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解散総選挙がいつ行われるのか、これは総理大臣にしかわからない話であるが、1つの興味深い見方がある。現実的に総選挙は相当先になるという見方の1つなのだが、やはり今の民主党の状況を見ていると内閣不信任案がこの臨時国会で成立するのではないだろうか。その時に小沢さん達は内閣不信任案に賛成するわけだが今の状況だととても選挙はできず、そして結局野田さんは総辞職をして細野さんの様な人が新しい内閣を作ることになり、そしてもしも細野内閣ができたならば今度は小沢さんが支持する方向に周り、そしていくつかの法律も通して予算も通してしまうであろう。こうなると結果的に来年の4月くらいに総選挙がなってしまうということになる。これはあくまでも1つの仮説にすぎないわけだが、今までの野田さんの動きや細野さんとの関係を見ていると、そういう事も有り得るということだ。そしてその事は実は民主党の利害にも叶う。なぜなら今度の衆議院総選挙で民主党は必ず、もしくは、ある程度負けることは間違いないのだから、それと参議院が重ならない方が良く、大いに民主党は衆議院では負けても、そのリバウンドがある頃に参議院の選挙があって、そこで少し持ち直す、そういうリバウンド説が実は参議院の民主党側にはある。輿石さんの存在を考えるならば十分に有り得るシナリオなのではないだろうか。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2012.10.06 12:30

日本経済・政治の変化を象徴した10月1日の出来事

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10月1日に日本経済や政治の変化を象徴する大きな出来事があったように思う。まず、経済産業面では新日鉄住金が合併して新しい会社になった。日本の産業企業を取り巻く環境は本当に厳しく、それに対して日本の企業がなりふり構わず必死に対応しているという姿がこの新日鉄住金の合併に現れている。第二の変化として、この日に郵政が新しくなった。これは解約であると思うが、同じように派遣労働法が施行されるようになって、これもより雇いにくくするような制度で、つまりこの2つの事例は政策が非常に悪い方向に行っている象徴である。第三に政治の面では内閣改造が行われた。しかしこの内閣改造は、いかにも民主党政権が少しでも延命したいということを目的としただけの内閣改造に見えるわけで、総じて言うと経済産業は非常に厳しい状況の中で一生懸命変化をしているが、政策は悪い方向に行っていて、政治は相変わらず悪いままであるというのを象徴した10月1日だったと思う。しかし、今度の内閣改造を見ると一部の与党の議員自身が言っていることだが、とても国会の審議に耐えられるような、つまり国会答弁で乗り切れるような布陣ではなく、ひょっとすると総理は最初から解散するつもりで内閣を組んでいるのではないかという悲観的な声さえ聞こえてくる。政治の状況は一体どのようになるのか、一刻も猶予を許さないのだが、間違いなく今度の内閣の元で解散総選挙は行われるであろうし、それが早いか遅いかという問題はあるが、まもなく迫ってくる国民の選択の時期、総選挙に対して国民は今度こそ正しい判断をして良い政権を選び、良い政策を打ち立てて経済をよくして行かなければならない。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2012.09.28 22:11

橋下徹は社会現象のままで終わってはならない

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橋下徹大阪市長を代表とする日本維新の会の動向が引き続き大変大きな注目を集めている。これまで橋下さんの非常に巧みな話術と非常に突破力のある説明の力、これを盾に橋下徹という社会現象が起こってきた。この社会現象は極めて大きな力を持っていて、色んな世論調査でも、例えば維新に対する支持率というのは、最近やや頭打ちの傾向にあるとしても引き続き大変強いものであると言っていい。しかしこれはあくまでも社会現象で、この社会現象を現実問題として国政政党になって、選挙に勝って議席を獲得できるかどうか、議席を持つような姿にするためには実はまだまだ相当多くの努力が必要である。つまり橋下徹という社会現象を政治的なファクトにするために今からまさに維新の成果が問われるということになるのではないか。もっとも注目される点は来るべき選挙にあたり公募をあたって、ないしは維新塾の卒業生を中心にどのような有望な候補者を選ぶことができるかということではないだろうか。その前の段階として国会議員団を作ると、国会議員を与党野党から招いて5人以上の国会議員を持つ国政政党としての形を整えるというプロセスに居るわけだが、国会議員の顔という観点からすると、まだまだ決して十分ではなく迫力に欠けるという所は多くの人が認めるところであろう。重要な点は、まず国会議員団を増強して、しっかりとした核、コアが見えるようにすることである。そして第二には、やはり何と言っても次の選挙に向けての適切な候補者を選ぶことではないか。選挙であるから、いくら風が吹いていても候補者自身に問題があるならばやはり選挙で勝つことはできない。この候補者次第であるということを踏まえてしっかりとした体制作りができるかということが、まず問われている。この体制ができれば勝ち馬に乗るという言葉があるように様々な形で追い風が吹いて、国会議員の参加も高まってくると思われる。しかし、これができないと、社会現象は社会現象のままで終わってしまう。実は日本政治にとって、大変大きな正念場を迎えているわけだが、この中で多くの希望を与えている維新の会においても、1つの正念場を迎えているというふうに考えなければならない。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2012.09.21 06:51

さらに緊迫する可能性を秘める日中関係

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日本と中国の間で領土問題を巡ってなかなか厳しい状況が続いている事は承知の通りだと思う。今後どういう展開になるか、なかなか油断を許さないが、信頼するある中国専門家の話として興味深い話があるので、それを話したい。それは今回の日本に対する非常に厳しい中国の動き、その背景に次期中国のリーダーである習近平氏自身の意図がかなり働いているのではないかという仮説だ。これはあくまでも仮設ではあるが、胡錦濤国家主席がこれまではどちらかというと親日本の路線を取って、そして一部には批判を浴びてきた。新しい指導者の習近平氏は、それと一線を画するという意味も込めて、そして強いリーダーを演出するという意味も込めて、日本に対して非常に厳しい態度をとっているというのが背景にある。ちょうど少し前まで約10日間、習近平氏は雲隠れをして色んな治療をしたのではないかという噂があるが、実はこのような次の体制作りの準備をしていたのではないかという話にもつながっていく。いずれにしても、もしこの話になんらかの信憑性があるとするならば、これは何を意味するかというと、日本と中国の関係はこれまでの何年間とは違って今後数年間、かなり緊迫感を持った関係になっていく可能性があるということである。実は折しも、アメリカが所謂リバランス、大西洋から太平洋へ軍事のバランスを変えようとして、中国を非常に意識した政策に転換しつつあるのだが、それを受ける形で中国も日本やアメリカに対して従来とは違った厳しい姿勢で出てくるという、この可能性を心の中に留めおかなければならない。それに合わせてだが、恐らく日本の企業は今回のことをきっかけに中国から東南アジア、ベトナムやミャンマー等々にかなり拠点を移すということを加速するという風に考えられる。そうでなくても中国の人件費はすでに高くなっていて、いずれは拠点を更に人件費の安いベトナムやミャンマーに動かさなければならないということを考えていた。今回の中国を巡る動きは、こうした動きを一層加速するという風に思われる。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2012.09.21 06:48

自民党総裁候補にしてもらいたい3つの議論

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民主党の代表選と自民党の総裁選が同時並行で行われるという結果になった。正直言って、次の総選挙がいつ行われるかは定かではないわけだが、恐らく民主党の惨敗が予想され、そして相対的に有利な自民党が政権の座に着く、従って自民党の総裁に選ばれた人がほぼ自動的に日本国の総理大臣になる可能性が極めて高いということもあり、自民党の総裁選に大変注目が集まっていると思われる。久々に脚光を浴びる自民党もそれを受けて張り切った状況で議論をして欲しいと思うわけだが、5人の候補が立候補しているが、残念なことに政策の論争についての議論が深まっていないというのが現状である。この3年間、民主党の政権を散々悲惨してきた自民党が、では自民党が政権を取ったらどのような事をやるのかということについて明確な議論をこの総裁選で行なって欲しいものだ。特に3点について注文をつけたい。まずTPPだが、TPPについて自民党は本当に反対をするのだろうか。TPPというのは世界的な潮流の中で、やはり避けては通れない自由化の流れであって保守本流の政治家として、政治団体としてTPPをどうするのかということを総裁候補には明示的に語ってもらいたいものだ。2番目はやはり社会保障だ。民主党の社会保障政策は、散々批判されたわけだが、それでは具体的にどのようにするのか、国民会議に社会保障の在り方を委ねることになっているが、総理になったならば国民会議、社会保障会議をどのようにリードするのか、給付額は下げるのか、支給年齢は上げるのか上げないのかということを明確に議論してもらう必要がある。そして3番目には政策を行う体制をどのように作っていくのかということだ。小泉内閣、安倍内閣等々で確率された、経済財政諮問会議という経済の司令塔を民主党は一気に廃止をしてしまって、そして経済政策の司令塔がないままに混迷を続けた。自民党が政権を取ったならば、それをどのように復活させるのでだろうか、もしくはしないのだろうか。経済財政諮問会議ができた時に、自民党の多くの人達はそれに反対をしていた。しかし、それを総理の指導力で現実の機動に乗せてそれなりの成果をあげたのだが、民主党がそれを廃止してしまった。次の自民党のリーダーは、この政策を決めるプロセスをどのように作っていくのかという点についても明確な議論をしてもらいたい。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2012.09.10 16:16

不当な労働規制は一刻も早くやめろ

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過去5年間で日本の就業者の数が約140万人減少したという事実を知っているだろうか。実は2000年代の前半に規制緩和、不良債権処理、などなどをやり雇用は約100万人増加した。しかし、苦労して100万人増加したものが、あっという間にその後の5年間で140万人も減少したというのが今の日本の労働市場の状況である。この間、生活保護が100万人増えたと言う話がよくされるが、この生活保護が増えたというのは取りも直さず仕事をして給料をもらっている人、ないしは所得を得ている人、就業者が140万人減ったということに他ならない。この間、日本で一体何が起きたのかだが、実は最大の問題は働きにくい、雇いにくい労働市場の規制がなされたという事である。派遣労働に対する極端な規制が行われたということは周知の事実だと思うが、そうした中で今回、与党野党がこぞって賛成した法律がある。これは驚くべき法律で65歳まで勤務するということを義務付けるという法律である。これは段階を追ってではあるが、最終的には長期の雇用、かなりの高齢者の雇用を義務付けるというものだが、言い訳はあり、年金の支給年齢を後にずらすとその間の空白期間ができるので雇用することを義務付けるということなのだが、こんなことをすると企業はますます人を雇いにくくなり労働市場が縮小していくということが懸念される。重要な点は自由な働き方を選ぶのは個人の自由であり、長時間労働が良いのか、短時間労働が良いのか、その人に寄っても違うし、同じ個人でも人生のライフステージによって、その関心は違ってくるはずである。それを認めながら、どんな状況で働いても、どんな様子で働いても、その労働条件は一緒であるという根本を確保すること、そして出来るだけ自由な雇用条件を認めることにより、働きやすい環境、そして雇いやすい環境が人を作るということではないだろうか。今後さらに就業者が減少するということになれば、働く人の数が減らば、GDPは増えない、ないしはGDPは減るので、自らのクビを閉めるような、不当な労働規制は一刻も早くやめなければならない。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2012.08.31 20:41

政治だけでなくメディアも混乱してきている

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1週間程ヨーロッパを訪問して帰国した。しかし、この1週間の間に凄まじい政治の動きが日本国内であったという風に思う。参議院で首相に対する問責決議案が可決されたのは知っていると思うが日本の国内では自民党が他の7つの野党が出した問責決議案に賛成をしたということに対する批判が集まっているようだ。しかし自民党としては問責決議案を自らも出した以上、問責するというのが目的であるから自民党がとった行動に対して批判をするのは不適切であるという風に思う。ただこの間気になることがある。それは自民党の谷垣総裁がどうしてこの時点で急遽強硬な姿勢に出たかということだ。1つの重要な解釈はこの間、三党合意に基いて野田さんと谷垣さんは様々な議論をしてきたと思うのだが、ここに来て谷垣さんは野田さんは党内をまとめて解散にする力がないという1つの割り切りをしたのではないかという推察が成り立つ。総理大臣というのは国会を解散させる権限を持っているが、実は過去の例を見ても解散しようとして出来なかった総理は沢山いる。それは党内の一定の支持がなければできないし閣議でそれを決めるにあたっては閣内で全員一致でなければならない。そういうことが今の民主党の情勢では極めて難しく、野田さんにはその力がないということで三党合意をこれまで認めてきた谷垣さん自身がこの度問責に踏み切ったというふうに解釈しなくてはならない。その意味ではこれによって一体何が起こるのかということは非常に読みにくい。いまだに11月頃の解散総選挙ということが言われているしその可能性はあると思うが実は野田総理にその力があるかというのは極めて不確かであるという点を踏まえなくてはならない。
もう1点、この1週間で非常に大きく変化したことがある。それは政治に関する、特に大阪維新の会に関する誤った情報が随分と堂々と政治新聞に出されるようになったということだ。この1つの解釈はどうも色んなガセネタをあえて流す主体があって、それによって混乱をもたらしている。情報を出すことによってそれを食い止めるという効果があるので、例えば橋下さんが選挙に出るという情報が堂々と流れているが、これは間違っている。政治が混乱して、いよいよメディアもカオスの状況になってきたということを自覚しなければならない。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2012.08.09 20:20

消費税増税法案が通過した背景に見える財務省の影

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谷垣さんと野田総理が話し合いをする、そこに山口公明党代表も加わって党首が話し合う形で国会運営、そしてもっとも重要な法案である消費税増税の法案が参議院でも通過するという事態に至った。この茶番劇をどのように理解したらいいのか。谷垣さん達は非常に強行に衆議院の解散を迫るという姿勢を示しておきながら、最後は非常に腰砕けになった形で、非常に曖昧な近く解散をするというような形で決着をした。この背後には実はやはり財務省の非常に強い動きがあって、財務省と結託した自民党の長老がいて、その長老達が谷垣、石原体制に圧力をかける形でこのような結果になったというふうに言われていて、その真偽の程は時とともに明らかになると思うのだが、実は財務省としては一体どんなシナリオがいいのだろうかという観点からこれを見なおした時に実は財務省にとって1番良い結果に導かれているというのは否定出来ない。もし皆さんが財務省の責任者だったら何を考えるだろうか。まず2つの事を考えるはずで、第一が増税法案はなんとしてもこの国会で通過をさせたいということである。第二としては選挙は遅かれ早かれ行われるわけだが、今度選挙が行われたなら、今の民主党と国民新党の政治の枠組みは必ず崩壊するはずで、自公になるのか自公民になるのかはわからないが新しい政権の枠組みができることになる。これから予算編成に入るが予算案を一旦作って、その後選挙があって別の枠組みで予算を変更されるというのは財政当局としては1番嫌なはずなので、まず法案を通して、その後どこかで選挙をし、その後予算編成をして、そのまますんなりと予算が通るようにしたいというふうに財務省なら考えるはずだ。ご承知のように今のままで行くと11月頃に選挙がありそうだということになると、まさにこの国会で法案が通って、そして11月に選挙があって新しい政権の元で新しい予算編成が行われる結果になる。そのように見ていくと見事なほどに財務省にとって非常に都合の良い結果になりつつある。これがまさに今日本で起こっていることで、そしてその事に対し大新聞も含め多くのメディアがそのシナリオを賞賛しているという、なんとも不思議な光景が目の前にある。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2012.07.22 21:03

国内で起きているデモ行進の変化

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反原発に関して毎週金曜日に多くの人達、しかも一般の人たちがデモ行進に参加している。その数、主催者の発表では20万人近いという数字で、これは大変なデモ行進であるという風に考えなければならない。重要な点はこれまでの色んな政策に対するデモとは全く形、意味合いが異なっているということだ。これまで歴史上1番大きなデモ行進というのは1959年第一次安保闘争の時の33万人のデモであったと言われている。しかし当時は野党第一党の社会党の浅沼委員長を先頭に動員もかけて政治主導で組合も乗っかる形で組織的なデモ行進であったということだ。しかし今回はソーシャルメディア、Twitter等々で呼びかけてごく一般の方々が子供の手を引いてそして素朴な想いで参加するようになった。ジャスミン革命、中東の春、アラブの春という言葉が使われたが、その時Twitterがとても重要な役割を果たした。Occupy Wallstreetで重要な役割をTwitter等々が果たした。日本ではそういったソーシャルメディアによる新しい政治運動はまだ起きていないというふうに認識をされていたわけだが、まさに足元で非常に重大な変化が起こっていると考えなければならない。それにしてもやはり今回原発の再稼働に向けた政府のやり方はあまりに稚拙であったという風に思う。しかしそれは単にやり方が稚拙であると、アマチュアであったということだけではなく、相当にその背後に経済的な、焦ってやらなくてはならない理由があったという風に考えなくてはならないのではないか。日本は今年間約1兆円のエネルギー予算を使っているが、その4割以上、場合によっては5割くらいが原子力に使われている。そして再生エネルギーに使われているのは一割に満たない。実は原子力を長期的に辞めるというようなことをもしも認めてしまうならば、この予算を大幅に組み替えて数千億円の利害を今の原発推進者が失うということになる。それを阻止するために非常に稚拙な、あのような政策を行った。それに対してまさに日本版ジャスミン革命とも言うべき新しい動きでのデモ行進が始まっているということに私たちは大いに注目しなくてはならない。総理大臣が声が大きい、音が大きいという単純な反応をしたということが批判されているが、今起こっていることの意味合いを理解しなくてはならない。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2012.01.03 14:50

新年のご挨拶

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新年明けましておめでとうございます。ポリシーウォッチの竹中平蔵です。昨年2011年は大震災に見舞われて、本当に大変な1年であった。この2012年も昨年に輪をかけて、非常に波乱含みの年になるのではないかと懸念している。ヨーロッパ発の新しいタイプの金融危機が日本や世界を襲うであろう。その中で、世界中でエレクションイヤー、大統領や首相が替わるという政治変動の年でもある。ヨーロッパに関しては日本は直接的な影響は比較的少ないと見られているが、リーマンショックの時もそのように言われながら、結局日米欧で1番大きな被害を受けたのは日本であった。そのような観点をふまえて、日本経済がどのようになっていくのか、そして政局を含めて日本の政策がどのようになっていくのか、しっかりとウォッチして行かなければならない。ポリシーウォッチの役割は従来以上に大切なこの1年になると思っている。どうぞよろしくお願いします。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2011.08.10 17:53

この2年間で何も残せなかった民主党

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民主党と自民公明の間で議論されている民主党のマニフェスト見直しについて一定の方向が出た。それは子ども手当の実質的な廃止、従来の児童手当に戻ると言った内容のものだ。これについては当然のことながら幾つかの評価がある。元々民主党の子ども手当などというものは実現不可能なもので、現金をこれだけばらまいている国というのはなく、そういった不可能であったものにようやく歯止めがかかったという評価は当然だ。しかし、その一方で政策というのは一旦決めたことはある程度やらなければ意味が無いのにも関わらず、それを朝令暮改の甚だしい例として今回のように子ども手当をやめてしまうというのは社会全体で子供のケアするという政策の理念はどこに行ってしまったのかという本質論も取りたださなければならない。
なにより重要なのは民主党のマニフェストがこれを機に全面崩壊したということではないだろうか。17兆円の予算を動かすことができ、特会まで含めて17兆円の予算を削減し、そして十分な政策を行うと言っていたのに全くできなかった。子ども手当の歳出の目玉がこれでなくなってしまった。更にはガソリンの暫定税率を廃止するということもやられていない。そしてこれはマニフェストの公約ではないが、当時の総理大臣の公約として、最低でも沖縄の基地を県外に持っていくという話はどうなってしまったのか。
この約2年間で政策的には全く何も残さなかったいうことが明らかになった瞬間であった。政策というのはやはり2年は掲げて国民の同意を得て、それを我慢強く継続的に行っていって初めて一定の成果が出されるものだ。政策をワイドショーのコメンテーターがいうところのキャッチフレーズのように軽々しく扱う政権、こういう政権が続けば国民の生活は益々悪化していくということになるであろう。民主党はこの際、この全面崩壊したマニフェストをどうしようと思っているのか、それに対する明確な説明を代表である管さんや幹事長である岡田さんから国民にしなければならないのではないか。もちろんその前に総理がお辞めになるのが一番大事である。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2011.07.24 17:34

菅総理にエネルギー政策は担えない

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菅総理の政治行動から急に脱原発、クリーンエネルギーへの急な転換という問題が大きな話題となっている。この問題をどのように考えるべきか。できれば原子力を離れクリーンエネルギーに持っていくという大きな方向性に関しては誰も反対はない。問題はどのくらいの期間で、どのような経路を経て、そのようなクリーンエネルギーへの転換を計るのかという総合的な戦略の問題があるかないかということではないだろうか。そもそも大変気になるのは、菅総理が一体いつから脱原発になったのかということだ。これまでの国会で散々菅総理は自分が売り込んだことでベトナムに日本の原子力発電の技術を売ることに成功したとを述べきた。それが急に今、脱原発を匂わすようになっている。いくら3.11の大地震・津波があったとは言え、その問題の根本的な思想がいつどのように転換したのかついて、菅総理はやはり明確な説明をする必要があると思われる。
その上でクリーンエネルギーに転換するのにどれくらいの時間をかけ、どのような戦術をとるのかということを話し合わなければならない。当面はクリーンエネルギーを総括的に買い取る法案を作るということ自体は一つの方向ではあるが、今のような発送電においての電力会社の地域独占を認めたままで更にそういった価格の負荷をかけるというのは結局国民負担が高まるだけなので、電力の自由化、発送電の分離というものを総合的に行わなければ意味がないということである。
結論からいうと、このようなエネルギー政策の総合的な転換をもはや自分はやめると言った総理が担うことは絶対に無理である。従って一刻も早く新しい政権になった上で総合的なエネルギー戦略を考える。そこにはおそらく考えられる全ての政策を盛り込まなければならなくなるのだと思う。例えば炭素税を一部に課して、そのお金で新しいエネルギー開発の研究をするということも必要であろうし、電力そのものを自由化し発送電の分離をするということもしなければならないだろう。更にはピーク時の新たな料金体系を設定する。これまで電力、エネルギーについて散々言われて来たことを全て総動員するといったような体制で、新しい総合的なエネルギー体制を立てる。これが今まさに求められていることであった、目の前の脱原発というスローガンだけでは何も解決しないということだ。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2011.07.07 17:48

見事な霞が関文学となった復興構想会議の報告書

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復興構想会議の報告書が出された。驚くべきは、その復興構想会議の報告がいくつかの点で非常に問題があるということが第一だが、第二として、それに対してメディアの批判が殆ど無いというのも大きな問題点である。ある大新聞の社説はいよいよこれから復興だ、後は実行するのみだというような社説を書かれ、この復興構想会議の報告がなかなか良い報告であったというニュアンスを伝えていた。これは驚きである。
過去20年間の霞が関、永田町の様々な政策報告の中で、この復興構想会議の報告はもっとも官僚色の強いものであったということをあえて申し上げたい。不思議な報告で、あの日の空は何色だったのかという極めて文学的な表現で始まり、しかし3ページ目からは、突如として霞が関文学が並ぶ。これは官僚がやりたいこと、官僚がやりたくないことを微妙に書き分けているわけだが、今回の報告で一つだけイノベイティブな点があるとすれば、次の一点になる。それは漁業に民間企業の力を活用すること、これは今までになかったことなので、この一点だけが、ブレイクスルーであると言えるが、後の問題は殆ど官僚がやりたいことだけを書いている。もしくは官僚がやりたくないことをやらなくていいような書き方をしている。見事な霞が関文学になっていた。
象徴的な点として先程漁業に対しては民間企業の活力を利用するという風に書いていると述べたが、そのすぐ上に農業のことが書かれている。そしてその農業のくだりには民間企業、民間資本という言葉は一言も書かれていないし、更には農地法の改正ということも出てこない。つまりこれは漁業については少し加えるけども、農業については今までの保守的な政策を変えなくてもいいというお墨付きをこの報告書が与えたことになる。更には、殆ど抽象的なことしか書かれていないなかで、増税に関しては基幹税を含めて検討するという、具体的な税の項目まで挙げて書かれている。財務省がやりたいことをさらりと書いて農水省がやりたくないことを、そのまま上手く逃れた、という報告書になっている。残念だがこのままでは東北の復興は出来ないと思われる。この復興構想会議の問題点を社会全体がもっと広く認識する必要がある。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2011.06.16 23:17

政治の混乱により国益を損ねている日本

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インドネシアのジャカルタでアジア・ダボス会議が開催された。ダボスに本部を持つワールド・エコノミック・フォーラムのアジア会議だったわけだが、そこで非常に大きな話題になったことの一つは日本の事であった。日本の経済がどのようになっていくのかということに対して沢山の質問を受けたのと同時に海外のメディアも集まって日本に関する議論に大変注目が集まっていた。極めつけは最終日の晩にユドヨノ大統領主催の晩餐会が開かれ、そこで大統領はスピーチをされたのだが、そのスピーチの中の約半分程の時間を割いて日本の事に関して大統領は言及された。大統領が仰ったいくつかの事の中で、まず日本はアジアの経済の中で極めて大事な存在であって、しっかりと立ち直ってもらいたいというエールを送られた。そして、エネルギーの供給国であるインドネシアは日本に対して天然ガスを中心に様々なことを支える用意があるんだということを明言された。更には被災地の人を中心に日本人が本当によく頑張っていて、そういう頑張る姿勢に対して敬意を表したいというような言葉もあった。
問題はそれに対して、日本から参加した閣僚が0であったということ、そしてユドヨノ大統領のスピーチの後にお礼の発言をする日本の政治家が一人も居なかったということだ。結果的にその場に出席されていた経済界を代表して経団連の副会長、小島会長がお話をされ大変良いスピーチであったが、日本国を代表して政治の責任者が誰も発言をできないという所に、今の日本が置かれている立場が集約、象徴されていた。世界、特にアジアの国々は今、一生懸命に日本をケアしている。そのケアに対して日本が十分に答えれていないのが今の現状である。日本の政治の混乱で閣僚が一人も会議に出れなかった。政治の混乱が如何に国益を損ねているのか、その現場を垣間見たような気がした。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2011.04.15 13:48

東京電力の一時国有化

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東京電力が今後どの様になるか、非常に大きな注目をされている。まず、今回の現場の混乱をなんとしてでも収束させなければならず、その為の努力を東電には厳しく求めなければならない。しかし、その上で、どの様な今後が予想されるか、「国有化」など閣僚の間でもまちまちな意見が出ているのが現状だ。
今後間違いなく出てくる議論は次の様な議論になる。「東京電力をGood 東電、Bad 東電、良い部分と悪い部分、財務的に悪い部分を切り離して、そして良い部分でもう一度やっていかなければいけない。電力会社は必要だから、それが必要だ。」という議論が出てくるだろう。これは東電の生き残りの議論であり、東電を温存するという議論、東電を救済するという議論になる。
金融の例を参考にし、足利銀行の様な対応をとることが重要である。今後、債務保証まで含めてどの様な財務内容になるのかという厳しいDue Deligenceした上でだが、デューデリを行って極めて厳しい状況であるということが明らかになったなら、それを一時国有化し、原子力を中心とした部分は国が管理し、それ以外、市場の採算に乗るものについては民間の別の企業に払い下げるということが重要なのではないか。そしてその際にイギリスの例などでもあるような、思い切った相当大幅な人員削減が可能であると思う。
電力は供給されるが、その会社は東京電力ではなくて民間の別の企業、新しい主体であり、東電の生き残りとは根本的に違う政策になる。関西電力が引き受けても構わないし、別の商社の様なところが引き受けても構わない。私たちに電力は供給されるが、それは生まれ変わった会社である。このように、一時国有化による足利銀行方式のような政策でけじめをつけることが大変重要である。今後どのような議論が出てくるかというときに是非このような意見を参考にしてもらいたい。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2011.03.27 16:15

震災を乗り越え、21世紀型の日本経済へ

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東北関東大震災を経て、日本の経済はどうなるのか。個人的には、構造的な地盤沈下を懸念し始めている。
既に一部企業が本社機能を東京から関西へ移転する流れもあり、この先、将来の日本を担うようなグローバル企業が海外に出て行ってしまうことで、日本経済の地盤が大きく低下するという可能性はある。特に、予想される首都圏における長期の電力不足や放射能の状況は国内産業のあり方、グローバル展開を行っている企業のロケーションを考える際に大きく影響してくるであろう。
一方、当面は建設業等の特需が発生するので、旧来型の産業が一時的に好調となることも予想されるが、長期的に日本の成長を担う企業の海外流出により結果的に日本経済がアジアのローカルエコノミーとなってしまうことは大いに懸念されるところである。
だが、今回を契機に、例えば東北地方の農業再生に関してはTPP対応型の農業を作り、原発についても21世紀型の格段に安全基準の高い新しいタイプの原発に整備していくことができれば、21世紀型のnew re:designed Japanese economyを作ることもまた可能である。
日本がアジアの一ローカル経済となってしまうのか、アジア経済のヘッドクオーター機能を担うことが出来るようになるのか。政治のリーダーには大きな視点を持ち、しっかりとしたシナリオ分析の下、それに必要な対応を取ることが、今求められている。この逆境を乗り越えれば、新しい21世紀型の日本経済を作る好機にもなる、と考えてこの状況に立ち向かっていかねばならない。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2011.03.21 22:45

震災からの復興へ、政府は緊急の予算的措置をとれ

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東北地方太平洋沖地震による被害の深刻さが日々報道されている。被災地の人々の救済、物資の援助は最も優先すべきことであるが、それに合わせて財政的措置、予算的措置を急いで組むことを提言したい。
今回、復興の為の補正予算の規模は10兆円規模となるであろうが、普通の手続きに則り補正予算を組んでいては2週間以上の期間がかかってしまう。年度末であることもふまえると、補正予算を現実化する方法は一つである。それは、今国会で審議されている2011年度の予算を大幅に組み替え、10兆円規模の対策費を組み込むことである。自民党の一部議員らが増税を主張しているが、これだけ経済が疲弊している時に増税を行えばさらに状況は悪化しかねず、思い切った国債の発行の方が有効であろう。
さらに、ゼロ国債と呼ばれるような、使途を定めず年度をまたいだ契約行為である"国庫債務負担行為"を可能とする国債の枠組みを用意することが効果的である。
政府には官僚や民間の知恵を十分に取り入れた上で、リーダーシップを発揮し、粛々と事態を前に進めていくことが求められている。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2011.03.18 22:55

政府に求められる"経済復興の為の司令塔"の役割

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東北地方太平洋沖地震が日本中に大きな被害をもたらしている中、ぜひ政府には早急に経済復興安定本部のようなヘッドクオーターを立ち上げて頂きたい。ボールばかりに人が集まり、全体を俯瞰する者がいない状態を"子供のサッカー"と言うが、政府・メディアで現在起こっているのはその状況である。こういう時こそ、俯瞰して事態を見渡すことの出来るヘッドクオーター機能が必要なのである。
そこでは、被害状況の把握、リアルタイムでの物資の調達、計画停電実施の音頭取り、そして経済全体の復興の為の計画を立てなければならない。また、そのような立ち位置から、当面の対策費用、長期的な再建計画に関するメッセージが出されて初めて為替相場や株式相場の短期的な変動も収まるであろう。
さらに、そのヘッドクオーター内に、実際起こっていることをリアルタイムで記録し、レビューする組織が必要である。復興作業の内、何に成功し、何に失敗したのか、それらを自身と世界への教訓として発信することが日本に求められている。
現在、残念ながら政府はその場の対応に追われているように見受けられる。政治がリーダーシップを発揮すべきことは、全体を俯瞰しトータルでの司令塔機能を果たすことである。現場は必死にがんばっており、今こそ中枢の管理機能を強化する仕組みが必要である。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2011.03.17 13:00

前原大臣辞任をどう見るか

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前原外務大臣が辞任した。先週金曜日の予算委員会で外国人からの献金を指摘され、日曜日には早くも辞任を決めた訳だが、金額の面、さらには旧知の知人による善意の寄付であったことからも、辞任が正しい選択であったか、という問題がある。
個人的には、与党が一枚岩となり前原氏を支えることと、首相がしっかりと支えること、が出来たのであれば続投し、外務大臣という重責を果たして欲しかったが、周知のように党内は分裂し、首相にも頼れない状況であり、結果的には前原氏が自信のダメージを最小化する為にも、速やかに辞任をしたのは頷ける措置であったと言えるだろう。
だが、この件は二つの問題点を浮かび上がらせた。
まず、今件は、前原氏が菅首相を見限った、と捉えるべきであり、今後様々な問責決議が出され、内閣が行き詰まる、という政権の泥沼化を露呈してしまった。
また、今件に類似したケースで少額の寄付を行っている外国人の方は非常に多くいらっしゃるのではないか、と考えており、それを防ぐのは相当に困難である。今後、様々な政治家にあてはまることが予想されるが、極端に言えば、10万円相当の金額で大臣のクビがひとつとれるかもしれない、という危険な状況が生まれた、とも言えるのではないか。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2011.03.06 17:50

『FAULT LINES』から考える

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昨年、アメリカのビジネス書の中で最も読まれた本の一つに『FAULT LINES』という本がある。ラグラム・ラジャンによって書かれたこの本は、翻訳すれば『大断層』となるが、今日の状況に対し幾つかの重要な示唆を与えてくれている。
ラジャンによれば、今日の世の中は見渡してみると格差に代表されるように様々な"断層"があり、その越えることのできない断層が人々に大きな絶望感を与えている、と言う。さらにその視点を金融の分析にも応用し、サブプライムとはそのような断層の下の人たちに一つの夢を与える商品であり、それに入れ込みすぎた為にサブプライムショックを起こすまでに至った、と述べている。
翻って見れば、今日の中東における混乱は世界各国に断層が拡がっている中、食料等の一次産品価格の上昇が断層の下の人々の生活を直撃したことによる不満の爆発と考えることが出来るだろう。
歴史的に見れば日本は相対的に断層が少なかった地域であることは明らかであるが、経済が悪化する中、確実に断層が拡がりつつあり、政策を考える上でも、ラジャンが指摘した断層をいかに埋めるかという問題は重要であろう。断層の存在を前提にし、いかにセーフティネットを高めつつ、経済成長も高めていくのか、といった新しい発想が必要なのである。
また、断層が存在する以上、今日の一次産品価格の上昇が今後も続けば、イスラム・アラブ諸国を筆頭に社会不安は当面続くであろうことも意識しなければならない。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2011.02.14 18:07

愛知県知事選・名古屋市長選の結果をどう見るか

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先日行われた愛知県知事選・名古屋市長選の結果、大村・河村コンビが大勝を果たし、政権与党である民主党は大敗に終わったが、今回の選挙を見て、大きな二つの流れが出来てきていると感じた。
まず、4月に行われる地方統一選において、予想通り民主党は大きな敗北を喫するであろう、ということが挙げられる。民主党から流れる票がどこへ行くかはまだ不確定である為、自民党が勝つことになるのかは分からないが、民主党の敗北の流れは今回の選挙でより明確になってきたのではないか。
次に、地域政党の流れが挙げられるだろう。"地域政党"というものが今後の大きな流れ、大きな核となっていく目処がたった、ということは、今回の選挙における一つのインプリケーションであったと言えるだろう。だが地域政党には、国政選挙で勝てるようなレベルになれるのか、といった課題も残っている。各地域においては重要な政策を掲げているものの、それを国政に拡げる時の手腕がまだ未知数なのである。今回の選挙で存在感が高まった分、さらに一段高いところを目指すような自己革新を行うことが出来るか、大きく問われる局面となった。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2011.02.06 21:45

政府/野党は国民が通常国会に期待していることに応えよ

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通常国会が始まり、冒頭での総理の施政方針演説を受ける形で予算委員会が開かれた。この最初に行われる予算委員会は、今国会がどのような国会になるのかを占う上でも重要な意味を持つが、残念なことにこれまでの所、十分な論点が出てきていない。
国民が期待しているのは、菅首相が内閣改造の際に挙げた、TPPをどうするのか、消費税をどうするのか、の二点について踏み込んだ政策論議が行われることであるが、攻める野党も、応える政府も共に十分な解答をしているとは言い難い。
また、最大の問題は、TPPに関しても消費税に関してもこれまでの民主党の主張とは矛盾していることであり、どういう時点から、どのような理由で政策転換を行ったのか、はっきりとさせなければならない。
さらに、消費税増税に関しては、消費税を引き上げるだけでは財政は健全化出来ない、という世界の経験、日本の教訓を無視しており、言語道断である。経済をデフレで放置したまま増税しても無駄であることは歴史的に示されている。野党はその点をもっと追求すべきであるし、政府も責任を持った解答をすべきである。
今後も注意深く予算委員会を見守っていく。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2011.01.30 18:52

現地速報:ダボス会議を振り返って

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経済状況の定点観測として大変意味のあるダボス会議が今年も開催された。今回は現地からその様子をレポートする。
まず第一の印象は、ここ数年の経済動向について意外と楽観的であった、という点である。もちろん欧州の財政問題や、現下のエジプトの問題などはあるものの、大きな危機をしのいだ、という安堵感が感じられた。Cautious Optimism="注意深い楽観主義"という雰囲気が支配的であった、と言えるであろう。
今回のダボス会議で特に目立ったのは、イギリスのキャメロン首相の演説であった。経済を強く成長させる、それは可能である、という表明は、世界のリーダーであることを強く印象づけた。
また、中国に対する圧力が予想以上に強かったことも印象的であった。現在の中国政府による元の保護・元安誘導は戦後最大の保護主義である、といった批判も出るほどであり、多くの論者もそれを支持していたように思われる。
さて、そのような中、菅総理がスピーチを行った。キャメロン氏やブレア氏の演説の後で注目が集まる中行われたその演説は、意外と評判は良かったのではないだろうか。政策の中身を語るというよりは、生い立ちを述べ、自己の理念を語る、というダボスでの一つのスピーチのパターンを踏襲したものではあったが、周りの評判は悪くなかったと感じた。だがそれと同時に、その総理の理念が、具体的に政策に反映出来ているのか、いかに政策に結びつけられるか、という宿題も背負ったこととなる。会期中に日本の国債格付けがダウンしたことなども含め、今後具体的に日本がいかなる政策をとっていくのか、今後の課題が大きくなったという見方も出来るだろう

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竹中 平蔵 さんのトピック :2011.01.24 17:00

今、首相がすべきは"デフレ克服宣言"を出すことである

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今、政府、首相が最もすべきことは、"デフレ克服宣言"を出すことである。今後二年間で日本は必ずこのデフレを克服する、と責任を持って政策を展開していくことが求められているのである。その為の具体的政策とは何か。以下の二つが考えられる。
まず、財政政策で需給ギャップを埋めることである。その為には11、12兆円規模の補正予算を出し続ける必要がある。財政が赤字であるのにまた国債を出すのかといった反論も予想されるが、このまま10年間赤字が続けばどちらにしても300兆円近い国債を出すこととなり、そうであるのなら政策によってデフレを克服することで累計の国債発行額は少なくすることができる可能性がある。将来の展望のある政策をとることが財政当局に求められているのである。
次に、金融政策である。その政策の中身自体は専門家たる中央銀行に任せるべきであるが、政府として明確な目標指数、物価目標を課すことが必要だ。多くの国が既にそういった政策を行っており、日本も思い切った目標を設定することが重要である。その為に日銀法を改正することも視野に入れるべきだが、それには時間がかかる為、まずは政府で合意し、その後時間をかけて日銀法を改正していけば良い。
このように、需給ギャップを埋めること、日銀に物価目標を課すこと、は経済学の基礎中の基礎であるが、日本はそれを行っていない点に問題がある。政府にはそのような状況を解決する為にも、ぜひ"デフレ克服宣言"を出して頂きたい。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2011.01.16 17:19

内閣改造が示唆する"悪しき増税"への道

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内閣改造により第二次菅内閣が発足し、その人事面に注目が集まっているが、その前に、発足から4ヶ月での内閣改造となった根拠、理由を政府がはっきりとさせる必要がある。改造を行った正統性が求められるべきなのである。
一方、中身に関しても当然問題点が見受けられる。内閣改造の目的として、"経済財政と社会保障の一体改革"を挙げているが、今回経済財政担当大臣となった与謝野氏はかつてその改革を行わなかった大臣であり、その点においても正統性が問われる。
さらに、与謝野氏がメディアなどで"政策通"と称されているが実際は官僚の代理人として政治的立場を強めてきた"官僚通"の側面が強いことからも、今回の内閣改造が政府による政治主導から財務省主導へと舵を切った転換点であることは明らかである。結果として1997年を思い起こさせる"悪しき増税"路線へと一歩踏み込んだことに強い危機感を持たねばならない。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2011.01.01 19:19

2011年 - 新年のご挨拶

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新年明けましておめでとうございます。
もしも現状に何も問題がなければ必要ないが、問題があればそれを解決する為に必要なこと、それが"政策"というものだと考えている。
2011年、経済、政治、社会に問題が山積している状況下で、政策の必要性は高まるであろう。それと同時に、その政策を客観的に深く分析するポリシーウォッチャーの重要性も高まるであろう。
ポリシーウォッチメンバー一丸となり、より一層正しく厳しい情報を発信していくので、今年も何卒よろしくお願いいたします。
2011年 元旦 竹中平蔵 チーム・ポリシーウォッチ

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竹中 平蔵 さんのトピック :2010.11.08 14:49

民主党政権の経済・金融政策を斬る

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民主党政権は、今国会でようやく補正予算を提出し、景気に翳りの見える中で経済政策を整えようとしている。しかし、今回の補正予算は遅きに失しただけでなく、規模の小ささ、及びその財源の出しどころを見るに、実質的な経済刺激効果はゼロに近いと考えなければならない。
さらに、金融政策に関してもほとんど進展が見受けられない。日銀は表面的には金融緩和に踏み切ったものの、結果に責任を負っていない現状況では、実質的な効果は望めず、デフレは収まらないだろう。このままでは、財政政策も見直しが迫られ、第二次補正予算を組まざるをえなくなることは明らかである。政府は日銀にしっかりとインフレターゲットを課し、それを実現する為に日銀法の改正をも行っていくことが不可欠だ。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2010.10.25 18:55

policywatchによる新サービススタートのご報告

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経済や経済政策を取り巻く環境が複雑化する中、チーム・ポリシーウォッチがファイナンシャルアカデミーと連携し、新しい経済・政策に関する情報発信サービス"エコノ・インサイト Econo insight"を開始することにいたしました。

https://www.f-academy.jp/econoinsight/
今後、独自の情報発信をより積極的に行って参りますので、何卒よろしくお願いいたします。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2010.06.30 09:51

このままでは重税国家へ!誤った消費税増税議論を斬る!

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民主党がマニフェストを発表したが、経済政策に関する限り、書かれていることは極めて疑わしい。
打ち出している方向性として"第三の道"と言っているが、その定義は極めて曖昧なのではないか。首相の発言から見るに、小さな政府より大きな政府を好み、財政再建を最重要視し、その手段として消費税増税を行う、ということのようだが、そのような経済運営は必ず失敗する。その方法は簡単に言えば、ばらまいた上での増税であり、このままでは消費税をかなり上げなくてはならなくなるだろう。
現在の日本の赤字は53兆円だが、それを消費税で埋めようとするならば消費税は25%も必要であるということになる。さらに子供手当てや手厚い社会保障が重ねれば、団塊の世代が全員後期高齢者となる2025年には一体どこまで増税が必要となるのであろうか。
政府はそれもはっきりと言うべきであるが、まったく触れられていない。議論も行われていない。
そもそも増税で経済が良くなることなどなく、唯一あり得る場合として政府が民間よりも賢い場合があるが、そんな仮定は間違っている。
今回の消費税増税は、消費税は上がる、しかし経済は活性化されない、つまり税収もあがらない、そして財政も再建できない、さらに増税へ、という重税国家への負のサイクルへのスタートに成りかねない。
重要なデータとして、小泉政権時代の2002年から2007年の5年間、増税は行わずに基礎的財政赤字を22兆円減らすことに成功した事例がある。これは消費税率9%分に値する額である。理論立った歳出削減と規制改革の組み合わせによる方法論でそれは可能であった。経済の成長・活性化こそが最大の財政再建なのである。
一方、現政府の増税主張は、理論的にも破綻、事例的にも正統化不能な誤った主張である。だが現状ではそれに対する正しい批判も見受けられず、このままでは日本は重税国家になりかねない。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2010.04.28 13:58

デフレ脱却へ日銀は明確な物価目標を掲げよ

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随所で日本のデフレへの懸念が示されているが、それは今に始まったわけではない。日本はこの15年間、一貫してデフレ傾向にあった。
物価の下落は、需給ギャップ、供給側の要因等が挙げられるが、特に日本の場合は金融の要因が最も大きいと考えられる。
その解決の為には、政府・日銀によるデフレ克服の強い意志が必要である。
具体的には、物価上昇目標を作り、それに向かって日銀が責任を果たしていくことが重要である。これまで明確な目標を設定してこなかった為に責任もまた発生してこなかったが、今後は日銀法改正も視野に入れ、明確な物価目標を掲げることが必要である。
その上で、いかなる金融政策をとるかという技術的な選択は日銀が行えば良く、それこそが中央銀行の真の独立性なのではないだろうか。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2010.04.21 16:54

日本の低福祉・重税化を阻止せよ

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ある雑誌で、このままでは消費税30%もいたしかたない、そのくらい厳しい財政状況である旨の発言を行った。
当然、重税化は好ましくはないし、それを避ける為の政策こそが今必要である。
日本は2009年度53兆円の国債を発行したが、それを消費税増税で補完しようとすると、25%の消費税となる。つまり現時点で日本は消費税率25%の実力の国なのである。
さらに子供手当や、団塊世代が65歳に到達することによる年金・医療負担の増加が加われば、重税化は免れられないであろう。
政策に打ち出の小槌はない。地道な歳出削減、民間への権限移譲など、やるべきことをやらねば、日本は低福祉・重税国家へと突き進みかねない。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2010.04.15 16:09

増税の為の立ち上げか?政策理念なき新党設立の目論みを斬る

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新党『たちあがれ日本』に関しては、主旨がよくわからないし、大きな力を持つこともないであろう。
野党となった自民党を去って新党を作っても共感など呼ばないし、政策理念が合致しそうもないメンバーの寄り集めなど数合わせでしかないことなども国民は見抜いているだろう。
むしろ懸念しているポイントは、この新党が参院選後に民主党と連立政権を組むことである。ばらまきで予算に困窮する民主党が、増税論者・財政至上主義者である与謝野氏を擁する新党と連立することで、増税への流れを自然に見せようとする意図がそこにはあるのではないか。今後、この新党問題は以上の観点から注視していく必要がある。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2010.03.26 20:56

政策転換は必須!今後の鳩山内閣に期待すること

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鳩山内閣発足から半年が経過したが、支持率急落、経済政策に関しては破綻的、という厳しい状況になっている。
2010年度予算は財務省の工夫もありかろうじて成立にこぎつけたものの、税収の半減など、来年度の予算はこのままでは組めない状況である。デフレは加速し、将来の見通しはまったく立たなくなっている。
このような状況下において政策の全面見直しは必須であるが、今後民主党に期待するとすれば、それはその見直しを整合的に行うことであろう。
その方法として、フランスのミッテラン政権が行った政策転換方法からヒントを得られるのではないか。つまり、政策転換の大義名分を見いだすことと、異なる意見の人と連立を組むことによる転換の演出である。
繰り返しになるが、政策は転換せざるを得ない。であるからこそ、思い切った今後の取り組みに期待する。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2010.02.27 18:19

郵政問題に見る現政権の既得権益擁護を許すな!

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日本郵政をめぐる議論が再び活発化してきている。
今後どのような制度設計をしていくのか、予算編成が終わってから本格議論になるであろう。
だが、郵政問題は民主党が政権を獲得した衆院選において大きな争点ではなかった為、この問題に関して政府は謙抑的であるべきであるが、政府は大幅に基本姿勢を変更しようとしている現状には注意しなければならない。
その政府の姿勢とは、特定局長の既得権益を守る、とも言える態度である。それら既得権益は、郵政問題をわかりにくくし、公的責務を自ら背負い込むことで旧来のシステムの保護を求め、結果的に特定局長の権益がそのまま残るという構図になっているが、民主党、国民新党はその構図を擁護しようとしており、それは国民負担の目線から考えても許されることではない。
ただでさえ日本の郵便料金は高額であるのに、明らかな非効率を温存させるようなことがあってはならない。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2010.02.09 23:17

質の低い国会論戦に警鐘を

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国会の論戦が始まったが、これまでの議論を見るに失望感を隠せない。
何よりも、今世界が日本経済をいかに見ているか、という視点が審議に全く反映されていないことには警鐘を鳴らさねばならない。今年、日本はいよいよGDPでも中国に追い抜かれ、そのような中で財政赤字をどうするのか、経済運営をいかに行っていくのか、と世界の注目が集まっている。
民主党の新人議員の一部の非建設的ヤジでますます国会論戦の質が低下しているが、海外からの健全な危機感を国会審議の方向性にも反映し、それら各国の懸念に応える形で論戦を進めていかねばならない。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2010.02.01 18:06

民主党政権の"低"成長戦略は評価できず

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昨年末にようやく発表された現政府による成長戦略の内容はどうだろうか。
名目3%の成長目標を掲げたことは唯一評価できるものの、多くの点で問題があると言わざるをえない。
まず、成長戦略の出てくるタイミングが間違っている。本来であるならば、戦略があり、それを予算に反映させるという順序であるべきだが、政府の予算案が出た後で成長戦略が出てきてもそれをいかに実現するのかまったく見えてこない。
さらに、そもそもの目標数値の低さが懸念される。現在の政府目標では、景気対策による自動的な成長を除くと、潜在成長率が1.3%/年しかない計算になるが、それは"失われた10年"並みの成長でしかない。これではとても成長戦略と呼ぶことはできないのではないか。
戦略の中身はこれから五月に向けて具体化されていくようなので多くは言及しないが、経済を強くするにはサプライサイドを強くするしかなく、その観点から①法人税の減税②羽田空港のハブ空港としての整備③農地法の改正、は成長戦略のコアとして最低限必要である。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2010.01.26 13:14

指針なき政府のJAL再建介入を許すな

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日本航空再建問題に関して、政府による介入が大きな社会的関心を集めている中、"そもそも日本航空という一民間企業にどこまで政府が関与するのか、すべきなのか"といった根本的な議論の欠如が懸念される。
政府の民間企業の経営に対する介入が許されるケースは3通りあると考えられるが、今回は、①一企業の経営悪化が同業他社も含めたシステム全体の悪化=システミックリスクを引き起こしかねない場合や、②企業規模、会社の社会的規模が著しく大きい、というアメリカにおけるGMの例に代表されるような場合、とは全く異なる為、③企業再生ではなく、産業再生という視点を持って介入する場合のみ政府の介入が許されるべきである。
だが、現状では日本航空という一民間企業を過剰に保護しているだけであり、このままでは健全な経営をしてきた同業他社の負担を増加させ、日本の航空産業全体の成長を妨げることになってしまう。
政府がいかなる方向性を持ってJAL再建に介入するのか、厳しい目で見ていかねばならない。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2010.01.21 13:10

2010年日本経済、政治はどうなるのか?

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2010年の日本の経済、政治の動きはどうなるのか。
7月の参議院選挙までは、選挙を見越してのばらまきを含めた財政拡大路線を続け、経済状況に大きな変化はなく推移するであろう。
問題はその後である。秋には上海万博も終わり、好調な中国市場によってかろうじてプラス成長を続けている日本へもなにかしらの影響があることは必至であるし、それまで続けるであろう財政拡大の処理の負荷も一気にのしかかってくる。
それ故、まだ経済的に余力のある今年前半に準備をしておくことが必要である。
さらに今年は、国際的経済格差が拡大する可能性がある。財政拡大からの出口戦略を模索する国々も出てきており、それらの動きも把握した上での日本の経済・政治の立て直しが求められていくであろう。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2010.01.18 18:46

民主党は政権を維持できるのか?

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民主党政権が発足して既に100日以上が経過した。
現在は、経済が徐々に悪化しつつも、已然として高水準の支持率を維持しているという状況となっているが、それはいかなる理由からか。
経済の悪化は現政権がマクロ経済運営のシステムを確立できていない為であり、高支持率は事業仕分けに代表されるワイドショーポリティクスが有効に機能した為である。
だが、このままパン(子供手当)とサーカス(事業仕分け)的方法で政権を運営し続けることは出来ない。
民主党が確固とした経済政策を打ち出せるか、どのように立て直していくか、に注目が集まっている。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2010.01.01 14:37

新年のご挨拶

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新年あけましておめでとうございます。
policywatchの活動を始めて実質三年目を迎えます。この間残念ながら、日本の経済政策はどんどん劣化していき、日本の経済も悪化しています。政治的な混乱もあり、これからどのように政策を進めていくのか。国民も非常に高い関心を持っていると思います。
今年は参議院選挙もありますし、policywatchは従来以上に深く議論を進めていきたいと思っています。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2009.12.10 17:52

今、世界の中で日本が危ない

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最近諸外国を訪ねる機会があったが、日本への視線は非常に厳しいものであった。
財政赤字・国債暴落などの不安要素は海外から見ると顕在化しているが、国内では円高への楽観的な態度が主流であり、そのギャップには警鐘を鳴らさねばならない。

このままでは今回が"最後の円高"になりかねない。
日米関係を始め諸外国は、日本の定まらないマクロ運営方針に疑念を抱いている。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2009.12.01 19:17

国民負担を増す為の"日本郵政再始動"

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日本郵政が再国有化へと動き始めた。現行のままでは将来的に国民の負担が増加するのは明らかであり、おおいに懸念している。中でも、第二弾の郵政人事から政府の意図が読み取れる。明らかな天下りだけでなく、ゆうちょ銀行の会長と頭取に金融経験の無い人物を就任させ、郵政族に都合の悪い人物を解雇するなど、国民の利益に反する人事が進められている。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2009.12.01 18:15

方向性なき"事業仕分け"で日本は救えない

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民主党政権による"事業仕分け"が話題となったが、今回の有り様では"小さな無駄を削って大きな無駄を産み出す"ことになりかねないと懸念している。そもそも事業仕分けは地方自治には向くが、大きな戦略判断には馴染まない。子供手当や高速道路問題を扱わないことも疑問であるし、国としての明確な方向性が欠如したまま、政治家が官僚をたたく見せ物として消費された感が否めない。

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竹中 平蔵 さんのトピック :2009.12.01 17:17

郵政で明らかになった鳩山政権の正体

今回の日本郵政を巡る動きを見て、人事の中身以前に、指名委員会が存在する企業に対して国が抜き打ち的にトップ人事を決めるという強権的な行動に唖然とした。
人事の中身についても、閣議決定で日本郵政の実質国有企業化を決めたことを踏まえ、必然的に元官僚が指名された。政権として掲げる“脱官僚”とまっ たく正反対の対応である。その結果、日本郵政の3人の代表執行役がすべて元官僚となるのである。日本郵政が国有企業化されることで結果的に国民負担も増え るが、そのことを人事の面でも体現したと評価できよう。
ちなみに言えば、指名された新しい経営者は元官僚であり、“渡り”を行うことになる。天下り撲滅を掲げる政権が“政治主導の渡り”を実現するというのは、いかがなものであろうか。
(2009.10.21 18:39掲載)

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竹中 平蔵 さんのトピック :2009.12.01 17:12

官僚に依存した"脱官僚"で十分なのだろうか?

立法府ですべき仕事を行政府が行ってきた官僚主導を脱却する為には、政策を立法府=永田町でつくる必要があり、その意味では政治家を霞ヶ関に送るという民 主党の"脱官僚"政策はセカンドベストでしかない。官僚と族議員の問題にも触れておらず、このままでは「官僚に依存した脱官僚」政治にならざるをえない。
(2009.09.15 23:38掲載)

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竹中 平蔵 さんのトピック :2009.12.01 17:10

"重税国家"へ突き進む新政権に望むこと

いよいよ民主党政権が誕生する。だが民主党のマニフェストにおいて成長戦略の不足は随所で指摘されている上、歳出削減にも消極的に見え、このままでは重税 国家へと突き進むことは明らかである。今後、経済と財政をいかに両立させていくのかが国家戦略局の重要な役目となってくるであろう。
(2009.09.11 08:50掲載)

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竹中 平蔵 さんのトピック :2009.12.01 16:56

将来の成長力引き上げに役立つ政策を講じるべきだ

政策には、「policy to help=救済する為の政策」と「policy to solve=解決する為の政策=構造改革」の二通りがある。今日の経済対策は短期救済型の政策が殆どでありそこには出口がない。問題の根本的解決、経済の 成長の為の政策を予算に織り込んでいくことが必要である。
(2009.07.31 09:20掲載)

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竹中 平蔵 さんのトピック :2009.12.01 16:55

財政再建はいかに達成するのか?

財政再建の為に、"成長か増税か"といった論点で議論するのは不毛である。経済の拡大(成長)による増収、歳出の削減、必要な増税、これらが揃わなければ再建は出来ない。この組み合わせの手順についての議論こそが財政再建には必要である。
(2009.07.31 09:20掲載)

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竹中 平蔵 さんのトピック :2009.12.01 16:54

"日本版オランダ革命"に取り組め

雇用とは"企業は利益を実現することが本義であり、その実現の為に雇用が発生する"という派生需要である。今日の労働市場は制度の不公平から格差が生じて いる為オランダの様に抜本的改革を行うと共に、市場そのものの拡大の為に成長戦略とセットで雇用問題をとらえることが重要だ。
(2009.07.31 09:20掲載)

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竹中 平蔵 さんのトピック :2009.12.01 16:52

これからのマクロ政策運営の視点とは

100年に一度の経済危機という言い訳の下、政府の役割拡大の議論が横行しているが、"市場か政府か"といった問題設定は誤りである。政府、市場、民間にはそれぞれの役割があり、経済を強く発展させていく為にめりはりの効いた役割分担が求められている。
(2009.07.31 09:20掲載)